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2018.08.25

「ゴミを出さない店」は成立するのか ドイツ発ビオスーパーの挑戦

ドイツ・ミュンヘンにあるスーパーマーケット「OHNE(オーネ)」

連日のようにSNSでシェアされる、プラスチックゴミで埋め尽くされた海の写真。今年に入り、英王室やスターバックスが使い捨てプラスチックの禁止や廃止をし、大手アパレルがプラスチックのアップサイクルに乗り出したことで、いま、「Zero Waste(ゼロ・ウェイスト)」が世界中で注目を集めています。

「Zero Waste」とは、2008年以降、フランスのBea Johnson(ベア・ジョンソン)によって広められたゴミを出さずに暮らす取り組み。起きた問題にどのように対処するかではなく、そもそもの問題を起こさないようにするという、根本的解決を目指す環境活動です。

ドイツのミュンヘンにあるスーパーマーケット「OHNE(オーネ)」は、そんな「Zero Waste」に共鳴し、いち早くその思想を取り入れたショップです。店に並んだフードやアイテム、パッケージフリーを貫く姿勢から見えてきたのは、これからの私たちの暮らし方でした。

未来の子どもたちに何が残せるのか?


歴史的建造物がつらなるドイツ南部ミュンヘンの街角に見えてくるのは、瓶に「OHNE」の文字が描かれた看板。その店名は、英語の「Without」にあたる「〜なしの」という意味で、「Zero Waste」のコンセプトを簡潔に表しています。

今でこそパッケージフリーのお店は増えてきていますが、オーネは2016年当時、ミュンヘンで唯一のパッケージフリースーパーマーケットとして誕生しました。


店内の壁にはオリジナルのディスペンサーがずらり。不揃いのオーガニック野菜もそのままの姿で販売されている。

そのきっかけは、創設者であるハンナ、カルロ、クリスチーネの3人が「子供たちに何が残せるのか」を考えたことからでした。子どもたちの未来を考えた時に、まずは、資源をすり減らして消費するだけのプラスチックをやめようと、「Zero Waste」をテーマとしたこのお店を作ったのだと言います。

店内には、ガラス製のフードディスペンサーがずらりと並び、一般流通できない形が不揃いなオーガニック野菜や果物が売れています。さらに、無駄のないライフスタイルを送るための雑貨や食器、化粧品なども単品または量り売りで展開。コーヒーや紅茶とともに焼きたてのパンを楽しめる小さなビストロコーナーもありました。

最後に行き着く先まで考えた提案がしたい

オーネの量り売りは、持参した容器を店内の電子秤で計って重量を記入。そこに商品を入れ、容器の重さを引いた分の代金をレジで支払うシステムです。

近頃、プラスチックの代わりに植物性の「バイオプラスチック」を利用することがブームになっていますが、オーネでは店頭に並ぶのも買い物客が持参するのもガラス瓶が主流。ガラスは何度も再生できるという点から積極的に使用しているといいます。


持参の容器の重さを計って記入する仕組み(左上)。ナチュラル洗剤も量り売り(左下)。店内のpopは全て手書きだ(右下)。
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文=国府田淳・佐藤祥子

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