ビジネス

2018.05.18

大量生産、マスマーケからの脱却 企業が「ファン」をつくる時代がやってきた!

マクアケ 中山亮太郎 代表取締役社長、マネーフォワード 辻庸介 代表取締役社長CEO、サツドラホールディングス 富山浩樹 代表取締役社長

日本の価値ある企業を探すForbes JAPAN「スモール・ジャイアンツ」。4月25日、渋谷「TECH PLAY SHIBUYA」で行われた授賞式イベントのレポート第3弾として、マクアケ代表取締役社長の中山亮太郎、マネーフォワード代表取締役社長CEOの辻庸介、サツドラホールディングス代表取締役社長の富山浩樹が交わしたトークセッションをお届けする。モデレーターは、Forbes JAPAN編集次長の藤吉雅春。(イベントレポート 第1弾第2弾

今回のテーマは、「LOCAL GIANTS 最先端は、地方にあり!」


藤吉:まずは、こちらの写真を見てください。


提供:北海道コンサドーレ札幌
 
これは北海道コンサドーレ札幌の、2013年最終戦の写真。

試合終了後、サポーターたちが「俺たちの1年は何だったんだ!」とブーイングで怒り、クラブ側の説明が終わった後に起きた光景です。

横断幕を見てください。
 
「遠征はJALで行こう」
「一生俺達の白い恋人」
「空港まではJR」
「乾杯はCLASSIC」

など。

この共通点は何でしょう?
 
この現場にいたのが、トークイベントのために北海道から駆けつけてくださったサツドラホールディングス代表取締役社長の富山浩樹さんです。

富山さんは発売中のForbes JAPAN6月号で表紙にご登場されています。北海道でドラッグストア「サツドラ」を200店舗経営されていますが、ただのドラッグストアチェーンではありません。
 
富山社長、この札幌ドームの写真について、説明してください。


(左から)辻庸介 マネーフォワード代表取締役社長CEO富山浩樹 サツドラホールディングス代表取締役社長

富山:目の前で見たとき、コンサドーレのファンの熱い想いにビックリしました。当時、コンサドーレはまさに瀬戸際でした。Jリーグのルールにより、3年間、赤字が続いたり、債務超過を解消できなかったクラブは、ライセンスを剥奪されます。サポーターにとって、スポンサー企業を応援することが、コンサドーレの生き残る道だったのです。

果たしてコンサドーレは赤字から脱しました。それでサポーターたちは感謝の気持ちを横断幕で表現したんです。
 
藤吉:Forbes JAPANが面白いと思ったのは、コンサドーレとサポーターとスポンサーが応援しあうトライアングルです。ドラッグストア「サツドラ」が同様の熱いコミュニティを北海道でつくっている。Forbes JAPAN6月号にはそのルポが掲載されています。
 
富山:700以上の店舗・企業が参加して、EZOCAという共通ポイントカードをつくりました。『EZO CLUB point card』、略してEZOCAです。もともと、自社のポイントカードはやっていたのですが、自社だけではなく、北海道が好きなら誰でも入れるコミュニティをつくろうと思いました。

それで『EZO CLUB』というコミュニティの概念を勝手につくったんですね。ローカルだと小さいし、ナショナルだと大きすぎる。道州制くらいのリージョナルな規模の経済圏がこれからは大切になると思いました。それで北海道が好きな人による北海道の経済圏なんです。

EZOCAはリリース3年目で会員160万人、北海道の2世帯に1世帯の割合で加入していただいています。会員さんの中には料理クラブや育児ママのコミュニティなど、いろんなサークルがあります。

サツドラの子会社『リージョナル・マーケティング』のコミュニティ・マネージャーが毎日やりとりをして、「活動する場所が足りない」とか「情報が知りたい」といったご要望を聞いては、いろんな企業さんとマッチングしています。
次ページ > 面白いのは「価値観の変化」

文=フォーブス ジャパン編集部 写真=岩沢蘭

タグ:

ForbesBrandVoice

人気記事