藤吉:企業が消費者のコミュニティ活動を支援し、喜んだ消費者が企業の活動を支援する。これまでは企業が焼畑農業のように「いい商品だから買ってください、契約してください」と消費者の獲得数を競っていたのに対して、企業と消費者が一生支援しあう『共存しあう長い関係性』が新しい。
富山:コンサドーレの試合を見てから、コンサドーレとサツドラの提携を決めました。コンサドーレEZOCAというポイントカードは、このカードで買い物をしたら0.5ポイントがコンサドーレに寄付されます。
藤吉:ファンとコンサドーレの支援する関係が、買い物を通じてより近くなります。一方、コンサドーレにはタイのスーパースター、チャナティップ選手がいるので、タイでは毎日のようにコンサドーレやチャナティップの動向が報道されています。
タイに進出したい企業にとって、コンサドーレのもつ価値を利用して進出できる。さらに札幌に行くと、タイ人の観光客でいっぱいです。
日本の野茂英雄やイチローがメジャーリーグ入りして、大勢の日本人がアメリカに観戦に行ったように、北海道とタイの関係が非常に近くなっています。
そして何よりも、勝った負けたでしかサッカーを見なかった人たちが、地元クラブを育てるという考え方に変わっていく。面白いのは、この価値観の変化です。
中山亮太郎 マクアケ代表取締役社長
藤吉:今日のトークセッションには、クラウドファンディングで全国の中小企業を盛り上げている、マクアケの中山亮太郎代表取締役社長と、同じく中小企業支援で全国を奔走しているフィンテック企業のマネーフォワード、辻庸介代表取締役社長CEOにも登壇してもらっています。
地方企業とファンの関係をよく見ているお二人です。
中山:とても面白い時代になってきたと思います。この20年くらい、大量生産しないと流通に乗らない仕組みになってしまい、客の顔が徐々に見えなくなっていたと思います。マスメディアとマスリテールの世界になった結果、消費量が減っていきました。
しかし、全国津々浦々を歩いてみると、活躍している企業は、その商品への思いをちゃんと伝えようとしていて、『つながり顧客』を見つけています。初期に賛同してくれたお客さんをすごく大事にしていて、つながった顧客はその企業のファンになっています。ファンはSNSで拡散して応援団を増やしていく。このコミュニケーションが重要になっています。
藤吉:中山社長は全国をまわって、どういうことをしているのですか?
中山:我々のようなインターネット企業は、東京に一極集中しています。しかし、モノを提供している企業は全国にある。私たちは走り回って、彼らと膝を突き合わせています。先日は福山でデニムをつくっている家族経営の会社と話をしてきました。経営者から、例えば「デニムのバッグをつくりたいんだよね」といったアイデアを教えてもらい、それをもとにしてクラウドファンディングを提案しています。
藤吉:熱いファンをつくる企業は、どういう企業ですか?
中山:大切にしたいことを、すごく大切にしている会社です。歯を食いしばって大切にしているからこそ、ファンがついてきます。マクアケはそれを媒介するメディアとして、共感する人たちを集めているんです。