ニュースサイト「ハフィントン・ポスト」の創設者として知られる同氏は、「2年半くらい前に、過労で倒れた。デスクに頭をぶつけ、頬骨を折り、右目のあたりを5針縫った。その時から、睡眠の大切さについて見直し始めた」と語る。
「色々と勉強し、医師や科学者などにも会って話を聞いた。その結果、より生産的でやる気にあふれ、楽しく過ごせる毎日を送るためには、十分な睡眠が必要だということが分かった」
睡眠の重要性を痛感したハフィントンは先ごろ、これをテーマにした本を出版した。睡眠不足がもたらすものや、研究が進む眠りの科学について記したもので、私たちの日常生活に睡眠が果たす役割などについて、研究結果が明らかにしたことを紹介している──睡眠は体重の増加や糖尿病、心臓疾患、がん、アルツハイマーなどの罹患と深く関わっている。
私たちのほとんどが、睡眠の重要性を知っている。だが、それでも睡眠を優先させるのは難しい。私たちは常に、興奮の伝達に重要な働きをするドーパミンを分泌させる装置(スマートフォンと呼ばれる)を持ち歩き、それによって常時、警戒態勢といえる状態に置かれている。さらに、私たちの周囲に数多くある電子機器が放出するブルーライトは、睡眠を妨げるものであることも知られている。
ベンゾジアゼピンのような睡眠薬がないと眠れないという人たちもいるが、この薬がアルツハイマー病の発症と関連しているとの研究結果も、すでにいくつも報告されている。私たちは何とかして、薬に頼らず眠れる方法を探し出さなければならない。