ビジネス

2016.03.24 10:31

IBMやソニーに学ぶ「創造性を生む」環境づくり

『21世紀のビジネスにデザイン思考が必要な理由』の著者・佐宗邦威 (photograph by Akina Okada)

キーワードは“余白”と“スピード”。デザイン思考で考える「創造的ワークスタイル」とは? 『21世紀のビジネスにデザイン思考が必要な理由』の著者・佐宗邦威にこれからイノベーションを起こすために必要な「場」について聞いた。

現在、クリエイティビティを経営に取り込む流れが加速し、創造性を高める「場」の重要性が増しています。その象徴的な事例が、米IBMです。2014年3月、1億ドル以上を投資し、世界10カ所に「IBMインタラクティブ・エクスペリエンス・ラボ」を開設し、1,000人のデザイナーを採用すると発表しました。

部門部署ごとにデザイナーを配置するのではなく、米テキサス州に「オースティン・デザイン・スタジオ」にデザイナーを集め、各拠点、各部門に派遣するスタイルをとっています。いまや世界最大のデザインファームといえば、IBMという時代に変わっています。

なぜ、こうした動きが起きるのでしょうか。

キーワードに“余白”と“スピード”があげられます。いまは、企業が自分たちの強みだけの一点突破型では厳しい事業環境です。不確実性が高く、業種・業態・規模を超える競合相手がおり、まさに異種格闘技戦のようなもの。そんな環境下では、経営者がビジョンや戦略を決めることも重要ですが、新しい領域や違う事業にチャレンジをする“余白”を社内に持つことが重要とされています。

さらに、いまや「市場にサービスやプロダクトを出してみないとわからない」時代。だからこそ、いままでの延長線上にない新しい事業、商品、プロセスをつくるための創造的問題解決法である「デザイン思考」を組織として活用し、消費者と現場の接点が企画やアイデアの起点となり、サービスやプロダクトを集合知も生かし早くつくるというマネジメントイノベーションが必要だと思っています。

ユーザー体験がより大切になる中で、その接点にクリエイティビティを用いること。クラウドファンディングなどを利用し、スピーディーに市場で検証することが大企業でも効果的です。

こうした中、余白の生かし方のひとつにあげられるのが、人もアイデアも集まり、新しいものを共有する場、いわゆる「創造性を高める場」です。そのため経営者は、その場にお墨付きを与え後押しするという、クリエイティブ・エンパワーメント型のリーダーシップが必要となります。
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フォーブスジャパン編集部 = 構成 岡田晃奈 = 写真

この記事は 「Forbes JAPAN No.20 2016年3月号(2016/01/25発売)」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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