ビジネス

2016.03.24 10:31

IBMやソニーに学ぶ「創造性を生む」環境づくり


ソニーの新規事業創造プログラム「Sony Seed Acceleration Program(SAP)」はその代表例と言えます。平井一夫社長直轄の“出島”として会社全体の戦略にこだわらず、社内からボトムアップで出てきた100以上の新規事業や新製品のアイデアを一部事業化しています。

その仕掛けを生かす場が本社1階にある「SAP Creative Lounge」です。社内外の人たちが集う場として、ときにイベントやワークショップが開かれ、ときに3Dプリンターでプロダクトのプロトタイプをつくるスペースにもなっています。こうした場が色々な人が興味を持ち集まる象徴的な“メディア”になったことは間違いありません。

私はクリエイティビティに対する投資として「環境づくり」が重要だと思っています。そのために、世界のデザインファームが実践している「つくり出す場」としてのスタジオの要素が参考になると思います。

1. 毎日の学び・アイデアを自分たちのワークスペースに貼り出し、「見える化」する
2. 多くの人を巻き込んでインサイトを得るため、気軽にワークショップを開催
3. 色々な資料をインスピレーション代わりに貯蔵
4. 考えたアイデアはデジタルでも物理的にもまず形にしてみる、などです。

こうした環境を用意することは、多様なメンバーが持つ「知」を生み出し価値に変える、知的労働者にとっての「工場」をつくることとも言えます。そのためには、人が惹かれる魅力的な「場」を設計し、さらにそこに集う人たちの「コミュニティづくり」を経営者が応援し、引っ張り上げてあげることが大事だと思います。優れた外見のオフィスやスペースをつくれば、イノベーションが起きるという簡単なことはありませんから。

さそう・くにたけ◎biotope代表取締役。P&G、ヒューマンバリュー、ソニーを経て、独立。ソニーの「SAP」立ち上げをはじめ、大企業から老舗企業まで様々な企業のイノベーション文化の創造やプロジェクトプロデュースを得意にしている。著書に「21世紀のビジネスにデザイン思考が必要な理由」。

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フォーブスジャパン編集部 = 構成 岡田晃奈 = 写真

この記事は 「Forbes JAPAN No.20 2016年3月号(2016/01/25発売)」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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