約10年前に大流行したSNSのトレンドが今週、TikTokで再び盛り上がりを見せている。ユーザーたちは、バケツに入った氷水を頭からかぶる動画を投稿し合うことで、世間の目をメンタルヘルスの問題に向けさせようとしている。
これは、かつて難病の筋萎縮性側索硬化症(ALS)に対する世間の認識を広めることにつながった「アイスバケツチャレンジ」を模倣したトレンドだが、一部からは別の目的にこのチャレンジが転用されたことへの不満の声も上がっている。
新たなアイスバケツチャレンジは、サウスカロライナ大学の学生団体「Mental Illness Needs Discussion(MIND)」が立ち上げたもので、最初の投稿は3月31日にインスタグラムで行われた。この団体は、若者のメンタルヘルスの問題に支援を行う非営利団体「Active Minds」への寄付を呼びかけており、4月22日時点で累計24万5000ドル(約3480万円)以上を集めたと述べている。
この新たなチャレンジは数週間で爆発的に広まり、TikTokの分析によれば#icebucketchallenge のタグが付けられた投稿は2万1000件を突破し、米国で今週5番目に人気のハッシュタグとなっている。今回のチャレンジは、以前のものと同様に、参加者が他の友人を指名し、その人がさらに他の人を指名するという連鎖的な仕組みによって広まっている。
TikTokで約4100万人のフォロワーを持つジェームズ・チャールズは21日に動画を投稿した後に、「どうやらアイスバケツチャレンジが再び流行ってるみたいだ。まさか2014年に戻るなんて」と語った。彼は、1300万人以上のフォロワーを持つモデル兼インフルエンサーのヘイリー・ベイリーを指名し、ベイリーもチャレンジに参加した。
元NFL選手のペイトン・マニングも、インスタグラムに氷水をかぶる動画を投稿し、弟のイーライ・マニングと元NFL選手のエマニュエル・サンダースらを指名した。NBCの朝の人気番組『トゥデイ』の司会者のジェナ・ブッシュ・ヘイガーも21日の放送で氷水をかぶり、共演者たちにもバケツをかぶせた。
ALS協会によれば、オリジナルのアイスバケツチャレンジは、2014年夏にプロゴルファーのクリス・ケネディがALSを患う親族を励ますために氷水をかぶったことに始まり、大学野球の有名選手で自身がこの病気を患っていたピーター・フレイツが参加したことで一気に拡散した(フレイツは2019年に亡くなった)。