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2025.03.26 08:30

Z世代に流行のSNS「BeReal.」、CEOは「完全にプロダクトオタク」

エメリック・ロフェ|BeReal CEO

エメリック・ロフェ|BeReal CEO

Forbes JAPAN 2025年5月号は「新・ヒットの研究」特集。世の中で今、注目されている商品には、最先端のエッセンスが詰まっている。爆発的ヒット作の徹底分析と、次に来る消費トレンドの予測を通じて、これからのヒットの法則を探った。

従来のSNSとは一線を画した仕組みで世界中の若者に人気沸騰のBeReal。M&Aを経て参画した新CEOは、ユーザーファーストの姿勢を崩さない。


「自分を飾ることなく、ありのままを表現したいというニーズはとても大きい」

そう話すのは、フランス発の写真共有型SNS「BeReal.」のCEOを務めるエメリック・ロフェだ。Z世代を中心に人気沸騰し、今や若者の間では定番のツールとして浸透した感のあるBeReal。2025年3月現在のグローバルMAU(月間アクティブユーザー数)は4000万人、日本はMAU450万人で、「成長率はグローバルでNo.1。過去2年間でユーザー数は1000倍に伸びている」という。

人気の理由は、従来のSNSとは一線を画すユーザー体験にある。特徴は、文字通り日常の「リアル」な瞬間の共有に特化していること。毎日1回、ランダムな時間に全ユーザーに一斉通知が届き、原則2分以内に撮影した写真を投稿する仕組みだ。写真はアプリ内のカメラで撮影する仕様で、編集機能は備えていない。手間をかけて絵映えするシーンを用意したり、自撮りを美顔加工したりする必要がないため、「盛らないSNS」といわれている。

過去十数年でSNSは世界中に広まった一方、多くの時間を費やし依存する「中毒者」も社会問題に。写真共有アプリでは、常に「幸せな自分」を映さなければという徒労を感じ、きらびやかな世界観に疲弊している人も多い。こうしたアテンションエコノミーへのアンチテーゼとしてBeRealは消費者の心をつかんだ。

特に最近のZ世代では、商品のもつ世界観への共感を重要視する「エモ消費」や、特定のコミュニティ内の価値観を大事にする「界隈消費」の傾向が強まっている(P.62にて詳報)。BeRealが映し出すのは、各ユーザーが同じ時間帯に過ごしている日常で共感性が高い。そして、こうした世界観をユーザーが共有するのは、不特定多数の誰かではなく、自分の大事にしているコミュニティの仲間など限られた人たちだ。Z世代に受け入れられる要件にピッタリとハマっている。

そんなBeRealだが、事業フェーズには変化が見られる。24年6月、仏モバイルゲーム大手のVoodooに5億ユーロ(約844億円)で買収されたのだ。これに伴い創業メンバーは経営から退き、VoodooでCTOや子会社のCEOを務めたロフェがかじを取ることになった。

M&A以降、BeRealはマネタイズに向けた動きを本格化。日本でも広告事業をスタートし、「想定以上に好調で、過去3カ月の間に200社以上が広告出稿した」と手応えを感じているが、ロフェはそれ以上にプロダクト強化が重要だと言い切る。

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文=眞鍋 武 写真=宇佐美雅浩

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