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2025.03.15 15:00

豊かさを感じやすい人が勝ち?「幸福ROE」という指標が示すもの

人はどうやったら幸せを感じやすい人生を送れるのか。筆者が考案した「幸福ROE」という指標から、見えてきたものとは。マクアケ創業者による好評連載第50回。


人生を豊かにするために必要なのは、お金だろうか。時間の余裕だろうか。それとも、人とのつながりだろうか。人気ボードゲームの最新版である「100年人生ゲーム」では、お金ではなく幸福度(ウェルビーイングポイント)が多い人が勝ちというルールになっているらしい。人生を豊かにするためには、個人がもっている時間やお金、人とのつながりといった人生の「資産」を、どれだけ効率的に精神的な豊かさという「利益」に変えられるかが大事になってくるのではないか。先日友人とそんな話になり、とても興味深いテーマだと思った。

そこで私は最近、「幸福ROE」という指標で考えてみることにした。ROEとはReturn On Equityの略で、純資産に対してどれだけの割合で純利益を上げているか。つまり、「企業がもっている資産をどれだけ効率良く利益に変えられているか」を示す値である。「幸福ROE」とは、これを日々の幸福に置き換えた考え方だ。

では、この幸福ROEはどうやったら上げることができるのか。方法はいくつかあるが、例えばある特定の分野について深い知識を有していると、幸福感や精神的な豊かさを感じられる瞬間は多くなる。まずは何かのオタクになること、そして「消費行動」を「楽しみ」へと変換していくことをオススメしたい。

昨年11月に大阪で開催された一般社団法人ベンチャー型事業承継が主催したイベント「AVS 2024」に、レオス・キャピタルワークス代表の藤野英人さんが登壇されたのだが、そのトークセッションで、実はピアノが趣味であると話されていた。藤野さん自身がピアノの演奏とは何たるかを知っているからこそ、クラシックなどの音楽を聴く際に、より深く理解できて楽しむことができるという。

私自身もアニメを見ることが趣味のひとつなのだが、自然と仕事でも業界の方々と話をする機会が多くなり、アニメ業界におけるビジネスモデルへの理解が深まりやすくなったと感じることが多々ある。声優のレッスンを体験させてもらったときには、アニメ作品が実際にどうやってつくられているのかに触れ、その作品づくりの大変さや表現者のすごさをより知ることができた。結果的に、何も知らずにアニメを見ていたころと比べたら、格段に深く作品を楽しめているように感じる。

また、先日木村拓哉さんのYouTubeチャンネルを見ていたら、名古屋の古着店を訪問した木村さんが、驚くほどの古着への知識量で、店主との会話を熱狂しながら楽しんでいた。これも「知っている」からこその豊かさだろうと感心して見入ってしまった(私は長年の彼のファンなので、普段と違うテンションの木村さんを見て、こちらも楽しめた)。

消費を「作業」から「楽しみ」へ

なかには、こうして何か特定の分野についての博識を極めることは、ハードルが高いと感じる人もいるだろう。そんな人には、何か買い物をするときに、それがつくられた経緯やストーリーを知ろうとすることから始めてみてほしい。製品でも、飲食店で提供された料理でも、イベントなどのかたちがないものでもいい。背景を知りながら使ったり食べたり参加したりすることで、お金やそれを体験した時間の価値は上がっていくからである。作業的に消費するのではなく、楽しみとしての消費を今日から心がけてみるだけでも、幸福ROEは上がっていくはずだ。
 
今後いっそう「作業としての消費」と「楽しみとしての消費」は2極化していくことと思う。幸福ROEを上げていくことは、人生を豊かにする大切なライフハックになるだろう。


なかやま・りょうたろう◎マクアケ代表取締役社長。サイバーエージェントを経て2013年にマクアケを創業し、アタラシイものや体験の応援購入サービス「Makuake」をリリース。19年12月東証マザーズに上場した。

文=中山亮太郎 イラストレーション=岡村亮太

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