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ヘルスケア

2025.04.22 11:30

睡眠薬や抗不安薬のベンゾジアゼピン系薬剤、過剰処方を防ぐために

Getty Images

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医療の世界で静かな危機が進行している。一般に睡眠薬や抗不安薬として知られるベンゾジアゼピン受容体作動薬の過剰処方問題だ。特に女性に処方されることが多く、この問題は何十年もの間放置されてきた。これは単に個人的な乱用の問題ではなく、医療体系全体の欠陥だ。

ベンゾジアゼピン系薬剤による依存症や離脱症状、認知障害のリスクが立証されているにもかかわらず、医師は特に女性に対して驚くほど高い割合でこの薬を処方し続けている。女性の心身に対する懸念に対処するには、ベンゾジアゼピン系薬剤の処方慣行を再考し、心療内科系治療の枠組みを抜本的に変革するとともに、現在の傾向を引き起こしている可能性のある偏見を批判的に見直すことが重要だ。

持続的な支えより即効性のある治療が好まれる現代の医療

アルプラゾラム(商品名ソラナックス、コンスタン)、ジアゼパム、ロラゼパム(同ワイパックス)といったベンゾジアゼピン系薬剤が、不安症や不眠症、パニック障害の治療に長年使用されてきたことはよく知られている。これらの薬は短期的には効果があるかもしれないが、長期使用を想定したものではない。だが、数多くの女性がリスクの全容を認識せず、こうした薬剤に依存している。

ベンゾジアゼピン系薬剤の処方率には顕著な男女差があることが明らかになっており、同薬剤を処方される女性の割合は男性の約2倍に上る。こうした性別による処方割合の差は、旧来の医療慣習やジェンダーに基づく偏見、女性の苦痛の根本的な原因に対処するより薬物療法を優先する社会的傾向など、さまざまな要因が重なった結果だと考えられる。

臨床現場では、不安やストレス、睡眠障害を訴える女性患者に対し、心理療法や生活習慣の改善といった非薬理学的方法より、ベンゾジアゼピン系薬剤を処方する傾向がある。即効性のある薬物療法が選ばれる傾向は、現代医療現場の時間的な要求によるものだ。その結果、職場でのストレスや育児の責任、一般的な社会の期待など、女性の心身に影響を与える構造的要因が、医療現場では十分に対処されない可能性がある。これにより、薬物療法が全体的で持続的な支えではなく、症状の表面的な緩和に終始する状況になり得る。

依存を助長するシステム

ベンゾジアゼピン系薬剤は長期的な治療薬ではない。これらの薬は依存症や離脱症状を引き起こしやすく、米食品医薬品局(FDA)は長期間の服用に対して警告している。こうした症状は、当初の不安症より治療が困難な場合もある。

それにもかかわらず、潜在的な危険に気づかずに、何年、何十年とベンゾジアゼピン系薬剤を服用し続ける女性も多い。一時的な治療を求める女性たちが、危険な悪循環を助長しかねないシステムに陥ってしまうのだ。その仕組みを解説しよう。

・インフォームドコンセントの欠如:多くの女性はベンゾジアゼピン系薬剤を服用し始める前に、依存症のリスクについて十分な説明を受けていない。離脱症状についても警告されることなく、処方される薬が「安全」だと告げられることも多い。

・薬の投与中止に向けた明確な方針がない:医師は患者の状態を再評価したり、投与の中止に向けた段階的な減薬計画を提案したりせずに、漫然と処方箋を出し続ける。

・重度の離脱症状:ベンゾジアゼピン系薬剤の服用をやめようとすると、パニック発作や不眠症、記憶障害などの離脱症状で消耗することが多く、日常生活を維持するために服用を続けざるを得なくなる。

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翻訳・編集=安藤清香

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