台湾の半導体受託生産大手、聯華電子(UMC)は4月1日、シンガポール東部にある新工場を正式に開所した。人工知能(AI)アプリケーションの普及によって最先端のチップの需要が高まる中、同社はこの施設の第1期工事に50億ドル(約7280億円)規模の投資を行う。
UMCは1日の声明で、シンガポール東部のパシリスにあるこの施設が年内にフル稼働すれば、月間最大3万枚のウエハーを生産可能だと述べている。この新工場は、同社のシンガポールでの総生産能力を47%増加させ、年間100万枚以上にする見込みという。
UMCの総経理の簡山傑はプレスリリースで、今回の拡張により同社が「自動車やAIなどの技術革新に伴う将来の半導体需要拡大に対応できる」と述べた。彼はまた、この工場が「シンガポール特有の地理的条件により、顧客のサプライチェーン強化に貢献できる」と述べている。
半導体の製造ハブとして知られるシンガポールは近年、世界の半導体大手からの投資を引きつけている。昨年は、台湾のTSMCが出資する世界先進積体電路(バンガード・インターナショナル・セミコンダクター)が、オランダのNXPセミコンダクターズとの提携で、シンガポールに78億ドル(約1140億円)規模のウエハー製造施設を建設した。また、米国のグローバルファウンドリーズは2023年に40億ドル(約5800億円)の新工場を開設した。
UMCの新工場は、シンガポール国内の最先端半導体ファウンドリーの1つとなる。同社はこの施設で、通信、自動車、AI向けの半導体を製造する予定だ。UMCは、この拡張により、今後数年間でプロセスエンジニアや装置エンジニア、研究開発エンジニアなど、地元で約700人の雇用を創出する見込みだと述べている。
シンガポール経済開発庁(EDB)のジャーメイン・ロイは「この新たな工場は、シンガポールの世界の半導体サプライチェーンにおける競争力を高めることになる」と語った。