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2025.04.07 12:30

米で相次ぐIPO計画中止、「弱気相場」突入で再開めど立たず

Photo by Andrej Sokolow/picture alliance via Getty Images

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スウェーデンのフィンテック企業Klarna(クラーナ)と、チケットの再販を手がけるStubHub(スタブハブ)の2社が、米国での上場計画を中止した。両社は、トランプ米大統領が発表した関税措置によって市場全体が急落したことを受け新規株式公開(IPO)を延期した。

関係者がCNBCとウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)紙に語ったところによると、両社は市場の不安定さを中止の理由に挙げており、いずれも今後の具体的なタイムラインを定めていない。

スタブハブは3月にIPOを申請していたが、S&P500が4月3日に約5%下落したことを受けて、予定していた投資家との会合を延期した。同社は、不安定な市場の中での上場に懸念を抱いていたとWSJは報じている。クラーナも同様に、予定していた投資家との会合を延期したとCNBCが報じた。

スタブハブは2024年にもIPOを延期していた。テイラー・スウィフトの「エラズ・ツアー」で売上を急増させた同社は、昨年時点で上場の準備をしていたが、市場環境が好ましくないと判断して、計画を延期したとブルームバーグが7月に報じていた。スタブハブは、JPモルガンとゴールドマン・サックスの支援のもと、少なくとも165億ドル(約2兆4000億円)の評価額を狙っていた。

トランプ政権による関税の発表を受けて、ダウ平均株価は4日の午後までに4.4%下落した。S&P500は5%、ハイテク株中心のナスダックは6%下落し、いずれも3営業日連続の下落となった。これらの指数はいずれも直近の数カ月で記録した最高値から少なくとも10%下落しており、「調整局面」に入ったとされる。

ナスダックは12月の過去最高値から20%以上下落しており、「ベアマーケット(弱気相場)」に突入した。JPモルガンのエコノミストは3日のメモで、世界経済が今年リセッションに陥る確率が60%だと指摘した。

ここ最近、上場を果たした企業としては3月28日に取引を開始した人工知能(AI)関連のCoreWeave(コアウィーブ)が挙げられる。同社の株価の動きは非常に不安定で、IPO以降に23%高となっているが、4日に12%以上急落した。

保守系メディア企業のNewsmax(ニューズマックス)も31日に上場し、初日に700%以上の急騰を見せて時価総額が300億ドル(約4兆4000億円)近くに達した。しかし、1日に最高値の約280ドルを記録した同社株は、4日に約45ドルまで下落した。

クラーナとスタブハブは、いずれも3月に米証券取引委員会(SEC)にIPOを申請していた。スウェーデン企業であるクラーナは「BNPL(バイ・ナウ・ペイ・レイター)」と呼ばれる後払い決済サービスを手がける企業で、2024年の売上高が前年比で24%増加したと報告している。一方、チケット再販プラットフォームのスタブハブは、昨年の売上高が30%増加したと明らかにしている。

forbes.com 原文

編集=上田裕資

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