「行動」が脳と睡眠を変える
日常的に、医薬品のほかメラトニンなどのホルモンサプリメントをはじめ、ホリスティックではないものに頼っている人は多い。だが、アギーレ博士は、それらを必要としない状態にすることは可能だと明言する。
「脳のすばらしいところは、可塑性と順応性があることです。何かに頼ったり、眠れないことが続いたりしていても、その原因はおそらく、本質的に生理学的なものではなく、心理的なものです。脳が何かから受けている影響や、眠り方のためかもしれません」
「睡眠に変化があれば、誰でもその原因に対処する必要があるのは、そのためです」
博士はまた、仕事やライフスタイルが理由で8時間の睡眠をとることができない人には「スケジュールに休息の時間を入れること」勧めている。昼寝ができないという人は、仰向けに寝て5分間、目を閉じて何も考えないようにするだけでもいいという。
「昼寝ができなくても、くつろぐことが心と体に効果をもたらします」
また、ルーティーンにするのは、例えばラベンダーやカモミール、パッションフラワーなどのハーブティーを毎晩飲むこと、サプリメントでパッションフラワーやマグネシウムをとることなど、「シンプルなこと」でいいという。
「そうした行動を取り続けることで、脳がより良く働くようになります。疲労感(と眠気)をもたらすアデノシンが、受容体と結びつきやすくなります」
そのほか博士は、アデノシン受容体と睡眠の質に関してはもうひとつ、習慣化すべきことがあると話す。それは、カフェインの摂取を午後の早い時間までにすること。さらに、カフェイン入りの飲み物の代わりに水を飲むようにするとより効果的だとしている。
こうした習慣を身につけることで、昼夜のバランスを取ることができるようになるという。博士はそのほか、「私たちの体は、バランスが取れた状態を好みます。その状態を作ることができれば、パフォーマンスが向上し、思考もより明晰になります」と述べている。