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ヘルスケア

2025.02.18 09:30

脳内には「スプーン1本分」のマイクロプラスチックが蓄積 認知症にも影響か

Getty Images

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プラスチックの消費が増え続ける中、微小なプラスチック粒子であるマイクロプラスチックが地球上の至るところに集積している。米ニューメキシコ大学健康科学センターで毒物学を専門とするマシュー・カンペン教授らは、深海や空に浮かぶ雲、そして人間の体内にもマイクロプラスチックが存在するとの研究結果を英医学誌ネイチャー・メディシンに発表した。

この研究では、体内に蓄積したマイクロプラスチックは、臓器の中でも特に脳に多く集積していることが分かった。カンペン教授らは、脳のサンプルには腎臓や肝臓の7~30倍ものマイクロプラスチックが含まれていたと明らかにした。

脳に蓄積するマイクロプラスチックの量も急速に増えているようだ。2024年に採取した人間の脳サンプルからは、わずか8年前の16年に採取したサンプルより50%多くのマイクロプラスチックが検出されたのだ。

研究者らは、正常な成人の脳の前頭皮質(眼球の後ろ側にある脳の部分)から採取した組織の中に、計12種類のポリマーを発見した。カンペン教授は米CNNの取材に対し、結果に基づくと、平均的な人間の脳には1グラム当たり4800マイクログラムのマイクロプラスチックが含まれている可能性があり、これはプラスチック製のスプーン1本分に相当すると説明した。


研究に携わった科学者らは、生物組織中のマイクロプラスチックを測定する独自の方法を考案した。この方法は、これまで人間の胎盤や精巣中の物質を検出するために使用されてきた。

研究者らは最初に各組織のサンプルを溶解し、これを遠心分離機にかけ、小さな濃縮ペレットを作成。これを600度まで加熱し、放出されるガスを調べた。さらにプラスチックを多く含むサンプルを顕微鏡で観察し、200ナノメートル未満のマイクロプラスチックの堆積を発見した。それは極めて微小な粒子で、血液脳関門を通過できるほど小さい。しかし、たとえそうだとしても、マイクロプラスチックがどのようにして脳に入り込み、なぜ脳内にこれほど大量に集積しているのかを説明することはできない。これについては、研究に携わった専門家にも分からないという。
次ページ > マイクロプラスチックは人間にとって有害なのか?

翻訳・編集=安藤清香

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