アート

2025.04.09 13:15

解釈拡大も越境のうち。10代と考えた「地球環境とクリエーションの共存」

「有楽町アースサミット(YES)」の会場にて

「有楽町アースサミット(YES)」の会場にて

国内だけでも毎年10億着もの服が捨てられている。当たり前のようにフードロスが発生している。この状況下で、なにかを「つくる」ことには、さまざまなジレンマがつきまとう。地球環境を考えれば、つくらないほうがいいのでは、とさえ思えることもある。

3月21日から3日間にわたり、そんなジレンマを目の当たりにする展示会「有楽町アースサミット(YES)」が開催された。10代のための学び場「GAKU」が約半年かけて実施したファッション・食・建築の3クラス合同の展示イベントだ。

最終日には、「これからの、地球とクリエーションと教育」をテーマとしたトークが行われ、食、ファッション、建築の3つのクラスの講師とGAKU事務局がこれまでの一連の実践を振り返った。

<登壇者>

・山縣良和(writtenafterwardsデザイナー/coconogacco代表)
・野田達也(シェフ・nôlディレクター)
・クマタイチ(建築家/TAILAND主宰)
・武田悠太(GAKUファウンダー)

武田:これまで「食」と「ファッション」、「建築」という3つの領域において、サステナビリティとクリエーションのあり方を授業を通して考えてきました。まず、それぞれの授業を説明してもらえますか。

山縣:私たちの授業は、「わたしたちのファッション表現」というテーマでした。10代の参加者たちが、当事者としてファッションを考えていくことを軸にしたいという意味を込めています。彼ら彼女らにはまず、社会問題が山積みの現状を知ってもらい、その中でどういう表現ができるかを考えてもらいました。

とはいえ、重視していたのは、難しく考え過ぎて、何も行動できなくならないようにすること。表現することを大事にしつつ、これからのファッション表現を考えていくと。実際、参加者による様々な自由な表現が生まれたのではないかと考えています。

武田:最終的にファッションとは言いつつ、実際に洋裁したのは一人くらいでしたね。ファッションだからと言って、必ずしも服を仕立てなければならないということでもないところは特徴的でした。

野田:食は「限界美食論」として、自分たちの喜びがそのまま社会や地球の喜びになること、もしくは優しく寄り添うような形になるような授業となりました。食のあり方も、今後は自分たちが消費し続けるだけではなく、周囲にも好影響を与える形が目指すべきところになります。

具体的には、「おいしさとは何か」を軸に、現代が抱える環境問題や食に関する課題を交えて授業を進めていきました。その後に「自分たちが今、考えるおいしさ」を形にしてみようと、「こういう料理があったらいいな」というスケッチからはじめて、具現化させていきました。

必ずしも服を仕立てないでいいというファッションにも通じる部分もあり、料理のはずなのに、「とにかく燃やしたい」「満天の星空がいい」などの言葉が飛び交うほど自由な発想が生まれました。料理人だとまず辿り着かない考えばかりで、私たち料理人としても、その発想を形にする過程は多くの学びが得られる機会でした。

次ページ > 「肉パフェ」誕生の背景

文=小谷紘友 編集=鈴木奈央 写真=GAKU事務局

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