「世界で最も幸福な国」はフィンランド──。20日に公表された2025年版「世界幸福度報告書」から明らかになった。同国は8年連続で首位の座を確保した。
同報告書は、英オックスフォード大学が国連持続可能な開発ソリューションネットワークらと協力し、幅広い学問分野の観点から世界140カ国以上の統計を分析したもの。
各国の国民の幸福度を格付けしたランキングでは、北欧諸国が例年通り上位を独占した。1位のフィンランドに次いで2位に選ばれたのはデンマークで、アイスランド、スウェーデン、オランダがそれに続いた。
世界一幸せな国とされるフィンランドの首都ヘルシンキは、健康や経済的な豊かさだけに焦点を当てるのではなく、地域社会や思いやり、社会への信頼、自然や緑地の多さといった点を重視しており、同国が幸せにとって理想的な場所であることを示している。
ヘルシンキのユハナ・バルティアイネン市長は、住民の地域社会に対する意識を高めるため、同市は住民参加型の予算編成への取り組みを行っていると説明する。この制度では、住民が自分の住む地域の改善に向けた提案をしたり、プロジェクトに投票したりすることで、公的資金の使い道に直接影響を与える機会が与えられる。
ヘルシンキはうわべだけの幸福に焦点を当てているわけではない。むしろ、総合的な充足感や生活様式を重視している。これはヘルシンキに限らず、フィンランド各地で一般的に受け入れられているという。
バルティアイネン市長は次のように語る。「ここでは、日常生活の中に幸福が静かに浸透している。それは常に私たちの表情に現れているわけではないかもしれないが、生活の仕方や人々の集まり方、そして私たちが共有する空間の中に存在している。その良い例が『オーディ』の愛称で親しまれているヘルシンキ中央図書館だ。この公共空間には読書だけでなく、仕事や遊び、あるいは単に時間を過ごすために、あらゆる年齢や背景を持つ人々が集まってくる。2022年の同図書館の訪問者数は約182万人に上った」
ヘルシンキはまた、常に社交的でなければならないという圧力を感じることなく、地域社会が団結できる方法を示している。同市は前世紀を通して、市民がありのままでいられると感じ、周りの人たちと助け合いながら人生は回っていくものだと信じられる文化を築いてきた。これは何も、毎日幸せいっぱいの表情を見せていなければならないということではない。幸福とはむしろ、日常の物事が生活を安定させているという確信を持って暮らせることだ。