ハリウッド映画を信じるなら、旧約聖書に記された「契約の箱」──預言者モーセが神から授かった十戒を刻んだ石板を納めたとされる聖櫃(アーク)は、1936年に考古学者インディアナ・ジョーンズが発見するまで、エジプトにある古代都市の廃墟に隠されていたという。荒唐無稽な創作だと一蹴する前に、米国の政府機関が1980年代に超能力者を使って聖櫃の在りかを探ったという話に耳を傾けてほしい。機密指定を解除された公文書によれば、これは実話である。
旧約聖書の「出エジプト記」には、契約の箱は木製で、純金に覆われ、上部に2体の智天使の像が向かい合うように飾られているとある。伝説の聖櫃は現代に至るまで人を魅了し続けている存在だ。
聖櫃を探す「サンストリーク計画」
契約の箱の存在は証明されておらず、仮に実在するとしても、どこにあるかはわかっていない。それでも米政府は1988年、超能力を活用するプロジェクトの一環として聖櫃の探索を行った。「Project Sun Streak」(サンストリーク計画、太陽の光条計画)の実験セッションでは、超能力者とされる人物が念力を用いて聖櫃の在りかと外観について説明している。
この計画に関する文書は2000年に機密解除され、米中央情報局(CIA)によって公開された。最近、この文書の内容がソーシャルメディア上で話題に上り、再び脚光を浴びているようだ。
文書を公開したのはCIAだが、1980年代にサンストリーク計画を監督していたのは軍事情報活動を任務とする米国防情報局(DIA)である。DIAの機密解除文書に記された概略では「サンストリーク計画は、インテリジェンス情報の収集における精神エネルギー学の活用について扱っている」と説明されている。プロジェクトの主な任務には「純粋に精神的な情報収集」が含まれていた。