米政府の超能力プログラム、真の目的は
サンストリーク計画やその前身の超能力プログラムが収集しようとしていたのは、宗教遺物の情報にとどまらない。当時はまだ東西冷戦下で、ソビエト連邦の施設に関する情報を引き出すことも目的としていた。そもそもプロジェクトが発足したきっかけは、手を触れずに精神力で物体を動かす念動力に関する実験をソ連が行ったという報告への対抗措置としてである。
米政府の超能力実験は1970年代から80年代にかけて、さまざまな当局の管理下で行われた。サンストリーク計画が正式に記録に登場するのは80年代半ば、遠隔透視に重点を絞った形でだ。DIAは遠隔透視の利点として、敵に検知されない受動的な性質と低コストなテクニックであることを強調している。サンストリーク計画の運用チームは、米情報局の諜報員を訓練して遠隔透視能力を習得させたいと考えていた。
どうやら米政府は、超能力諜報員の一団を養成することはできなかったようだ。2000年までに、CIAはサンストリーク計画を機密扱いから除外すべきだと判断した。文書は現在オンラインで読める。
サンストリーク計画の不可思議な詳細に踏み込んでみるのは楽しいが、契約の箱の存在や在りかは結局、証明されていない。元CIA局員で歴史編纂部の副部長を務めたニコラス・ドゥイモヴィッチは、DIAが手がけたこのプロジェクトの存在についてはよく知っているが、米政府が実際に聖遺物を見つけ出そうとした兆候はないという。「米国が契約の箱だかノアの箱舟だかを探索しているとか、発見しただとかの話がたびたび持ち上がるが、ほとんど無意味だ。私はCIAに26年間勤めたが、この手の話に関する証拠はかけらも目にしたことがない」とドゥイモヴィッチは電子メールで回答した。
今のところは、映画の中のジョーンズ博士に説明を任せておくほうがよさそうだ。きっと契約の箱は現在、米政府機関の施設の奥深くに「安全に」保管されているのだろう。