サイエンス

2025.04.01 10:30

「伝説の聖櫃(アーク)を探せ」 CIA文書が明かす米国防情報局の超能力諜報実験

旧約聖書に記された「契約の箱」のレプリカ(Shutterstock.com)

超能力者と米政府プロジェクト

米政府の超能力プログラムでは、超感覚知覚(ESP)、テレパシー、遠隔透視の実験が行われた。遠隔透視とは、離れた場所にある物体の情報を、実際に見たり触れたりすることなく収集する能力とされている。聖櫃の探索には、この遠隔透視のテクニックが採用された。超能力者とされる被験者は座標を指示され、そこに存在する目標物について説明するよう求められた。

実験セッションは通常、遠隔透視能力者と、手順を指導する質問者または観察者で構成されていた。聖櫃に関するセッションの要約文によれば、被験者は目標物を「容器」と表現し、「中に別の容器が入っている」と説明した。また「目標物は木、金、銀でできている」とし、所在地は中東で、近くにモスクのドームがあると述べたという。「目標物は隠されている。地下の、暗く湿った場所。それが目標物の在りかに関してわかるすべてだ」と文書には記されていた。

被験者は、この物体には人々を団結させる目的があり、霊的な特徴をもつ「儀式、記憶、賛美、復活」に関連していると述べている。目標物は護られた状態にあり、許可を得た者のみが開けることができるとされ、「容器をこじ開けたり叩いて開けたりした者は、人知を超えた力によって破滅させられる」という。文書には一対の翼を持つ存在のスケッチが添えられているが、天使というよりは鳥に見える。

この文書はどうにも、伝説の聖櫃がどこかに隠されていて、奇妙な力に守られているという刺激的な作り話にしか読めない。実験セッションのメモには「禁じられた」「恐怖」「死」「炎上」「財宝」などの言葉があふれている。

冒頭で触れた映画「インディ・ジョーンズ」シリーズ『レイダース/失われたアーク《聖櫃》』が公開されたのは1981年、遠隔透視セッションが行われる数年前だ。本作には、契約の箱を開封したがために登場人物の顔が溶解するシーンがある。メモに書かれた言葉はどれも映画のシーンに当てはまりそうだが、映画と遠隔透視実験との間に何らかの関連性があることを示す証拠はない。

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翻訳・編集=荻原藤緒

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