故人との「死後のコミュニケーション」の謎 心理学研究でわかっていること

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愛する人を亡くした時、人はしばしば、埋めることのできない喪失感を味わう。そんな深い悲しみの中で、「死後のコミュニケーション」を体験する人たちがいる。故人によるものと思えるサインやメッセージ、体験を得る現象だ。

死後のコミュニケーションを経験したものの、そのことを友人や家族、心理学者、セラピストに話すことをためらう人は多い。自分の体験が批判的に見られたり、誤解されたり、単なる幻覚や悲しみの産物と扱われたりするのを恐れるためだ。あるいは、自分の体験が精神的疾患の症状だとみなされることを不安に思う人もいる。

まともに取り合ってもらえなかったり、誤解されたりすることへの恐れから、必要なサポートを受けられないことがよくある。だが実は、それらの体験は異常ではなく、人が近しい人の死に対して起こす反応の一部だとの考え方もある。

死後のコミュニケーションが、現実世界と死後の世界をつなぐ安らぎの架け橋として役立つことを示した研究結果を、以下に紹介する。

1. 死後のコミュニケーションは珍しい現象ではない

この現象を体験する人たちが抱える大きな不安は、こうした体験をするのは自分だけで、周囲からは「異常」だと思われるのではないかというものだ。だが、そんなことは全くない。

ピュー研究所による2023年の調査では、米国の成人の2人に1人が何らかの形で死後のコミュニケーションを経験していることを分かった。具体的には、34%が亡くなった人の「存在」を感じたことがあると回答。28%が亡くなった人に向けて自分の近況を詳細に報告しており、15%が亡くなった人から直接メッセージを受け取ったことがあると回答した。

こうした体験は、信仰する宗教には関係なくみられた。キリスト教徒、ユダヤ教徒、イスラム教徒、仏教徒、ヒンズー教徒、不可知論者、無神論者、そして特定の宗教ではなく「スピリチュアル」な世界を信じる人のいずれもが、死後の世界と交信したと回答した。これが意味しているのは、この現象が本質的に、正当かつ普遍的な人間としての経験であるということだ。

さまざまな人が似たような経験をしていることは明らかであり、そうした体験を理解し、支援することのできる専門家も存在する。
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翻訳=高橋信夫・編集=遠藤宗生

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