「死後の世界を信じる」ことが日常生活に与える3つの影響

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私たちが死後に起こることと信じていることは、宗教、文化、個人の哲学を形成してきた。2021年の調査によれば、米国では驚くべきことに大人の83%が、特定の宗教を持たない人々を含めて、何らかのかたちでの死後の世界を信じている。

また、死後の正解を信じることは心理的な幸福感と関連があることを示す研究もある。その大きな理由は、そうした信仰が、私たちの存在の未来に関する不確実性や死の恐怖を軽減することで、不安を和らげる効果があるからだ。

しかしながら、私たちには自明ではない他の影響も存在し、それが私たちの生活に影響を及ぼしている。以下は、死後の世界を信じる人々の考え方や行動に与える3つの驚くべき影響である。

1. 死後の世界を信じることは「環境の持続可能性」に影響を与える

2023年の研究によれば、私たちの死後に関する考えは、環境の持続可能性への取り組みを影響する。

調査の結果、米国では、地球との相互のつながりを強調することが多い東洋の宗教的伝統を信奉する人の方が、持続可能性への取り組みをより支持していることが明らかにされた。これは、自分たちがやがて土に還るという考えと結びついており、それ故に地球を大切にする傾向として現れるのだ。

逆に、米国のキリスト教徒は持続可能性の取り組みが最も低いと報告されている。死後、地球を離れると信じる人々は、地球環境は彼らの死後の旅にとってそれほど関連性がないと考えるため、持続可能な実践に関与する意向が低くなる可能性があると、この研究は示唆している。

2. 死後の世界を信じることは国民としてのアイデンティティに影響を与える

2021年の研究によれば、死後の世界を信じることは予想外の方法で国民としてのアイデンティティと関連している。自分たちの死期を思い知らされたとき、この研究の参加者たちは、自分たちの国や文化があと何千年も続くという確信を強めるようになった。このことは、自分の国を強く意識することで、象徴的に長く生き続けることができるということを示している。その結果、参加者は死に対する不安を感じにくくなった。

言い換えれば、自分の死を意識すると、研究参加者は自国の歴史や文化を永続するものとして認識するようになった。しかもこれは、特に死後の正解を信じない人に当てはまることがわかった。このような感情が現実に浮かび上がるのは、国民的な悲嘆の時期かもしれない。たとえば、英国では最近エリザベス2世が亡くなったが、この死は実存的な恐怖と同時に愛国的な献身を促した。

この研究では、自国の歴史を通じて象徴的な不死を求める人々とは対照的に、死後の世界を信じる人々は地上での「国家の永遠性」を求めないことも示されている。これは、彼らがすでに死後の世界で生き続けると信じているためだ。
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翻訳=酒匂寛

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