3. 死後の世界を信じることは偏見の度合いに影響する
2023年には、死後の世界に対する信仰と偏見の関係に対する研究が行われ、宗教的な死後の世界に対する信仰と世俗的な死後の世界に対する信仰のいずれも、異なる価値観を持つグループに対する偏見につながる可能性があることが明らかになった。多くの死後の世界を信じることは、例えば「信者」と「非信者」を区別するような、排他的な性質を持つことが多い。実際、このような考えは、似た考えを共有しない人々に対する早合点や差別を引き起こすことがある。たとえば、宗教的な原理主義者が無神論者やリベラルを否定的に評価する一方、宗教的原理主義に対して懐疑的な人々はキリスト教徒や保守的な人々を否定的に評価する傾向があることが研究からわかっている。また、2020年の研究では、不可知論者や無神論者もキリスト教徒に対する偏見を持つことが報告されている。
そのような偏見が生じる背景としては、多くの人々には、自らの存在や価値観を守るために特定の世界観や社会集団を選び、自らの「価値観を脅かす」と捉える他のグループを遠ざける傾向があることが挙げられる。
その一方で、2023年の研究では、ある死後の世界を信じることが死の不安を減少させ、心の平和をもたらすことに関連していることも明らかにされた。それは結果的に偏見を抑えることに繋がっている。これは、一部の人にとっては、死後の世界を信じることが死の恐怖を軽減することで、将来の不確実性に対する防御反応としての「対立する世界観の強い拒否」への必要性が軽減されるためかもしれない。
おわりに
死後の生に関する私たちの考えは心の健康、環境持続可能性、国民性そして他者との関係性に影響を与える。死後に関する私たちの考えは、宗教的な範疇だけでなく、地球上の他の存在との関係性を形成するものでもある。死後の世界を信じることは、心の慰めを提供することもあれば、深い反省を促すこともあり、従来の考え方に疑問を投げかける。こうしたことを通じて個々人の視点や人生の経験を形成する方法については、まだ理解の入口に立ったばかりなのだ。(forbes.com 原文)