健康

2023.09.28

気候変動が生む負の感情「ソラスタルジア」 対処する3つの方法

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国連開発計画(UNDP)が2021年に発表した調査結果によると、世界の過半数の人たちが、気候変動は「世界的な緊急事態」だと考えている。そして、多くの人にとってこれは、世界的な問題というだけではなく、自らのメンタルヘルスをむしばむ問題でもある。

自分自身を取り巻く環境や母国との強いつながりを感じている人たちの間では特に、「ソラスタルジア」と呼ばれる恐怖感に悩まされる人が増えている。過去に自分がいた場所やそのころを恋しく思う「ノスタルジア」とは異なり、いまも昔と変わらずに故郷にいながら、そこで起きている変化に嘆き、悲しむ心理状態を指す言葉だ。

ソラスタルジアが呼び起こす感情には、次のようなものがある。

・見慣れた風景が変化していくことに対する深い悲しみ
・環境の変化を止めたり、変化に影響を及ぼしたりすることができないことへの無力感
・継続的な変化から受ける慢性的なストレスと、それによって現れる不眠などの症状
・薄れていく未来への希望
・急激な変化によって、自分が属するコミュニティや周囲の環境から切り離されるような感覚

人間による天然資源の搾取に抗議することはできるが、これは微妙な問題だ。私たちは日常生活のさまざまな面において、そうした資源の多くに依存している。

被ったダメージのすべてを回復するのは難しいだろう。ただ、私たちは自らの感情に対し、自分で行動を起こすことができる。重要なのは、こうした感情を生産的な方法で発信していくことだ。

ソラスタルジアによるダメージを和らげるために実践できる方法には、以下のようなものがある。

1. コミュニティ主導型の活動に参加する

2021年に学術誌Journal of Environmental Psychology(環境心理学ジャーナル)に発表された研究結果によると、コミュニティ主導型とされる取り組みに参加することで、環境保護を重視しているという社会的アイデンティティが大幅に強化されるという。

参加者同士の結束が強まるだけでなく、それぞれの持続可能な行動への貢献度が高まる効果も指摘されている。保護団体から植樹活動まで、草の根活動は参加者たちに、単なる貢献ではなく深い目的意識を植え付けることになる。

そうした活動は、ソラスタルジアに圧倒されている人が自らの感情に対処するために不可欠な、社会的つながりや相互支援といったツールを提供することになる。
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編集=木内涼子

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