ヘルスケア

2024.01.21 14:00

故人との「死後のコミュニケーション」の謎 心理学研究でわかっていること

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2. 死後のコミュニケーションがもたらす癒し

死別による悲嘆には、明確なプロセスがあるわけではない。人はさまざまな形で死別を体験し、それぞれが異なる感情に襲われる。悲しみにのみ込まれる人もいれば、深い虚無感を経験する人もいる。怒り、罪の意識、さらには安堵感を持つこともある。
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こうしたさまざまな感情がある中、死後のコミュニケーションが癒しの支えとなることもある。2021年の論文では、死後のコミュニケーションがありふれた体験であるだけでなく、きわめて有意義な体験として、悲しみや死への恐怖を軽減する可能性が示された。

興味深いのは、多くの人々が、死後のコミュニケーションの一環として身体的接触を体験していることだ。そうした体験は、他の形の死後のコミュニケーションと比べて、人をスピリチュアリティ(霊性)の世界へといざなう可能性が高い。

スピリチュアリティは、死別に対処するための強力なツールになりうるもので、死を理解し受け入れるための枠組みを提供し、安らぎを与えることができる。事実、スピリチュアリティを信じる傾向が強い人は、そうでない人よりも悲しみを乗り越えるのが早いという研究結果がある。

3. 死後のコミュニケーションは誘発できる?

死後のコミニュケーションが一部の人にとって安らぎを与える体験であることは事実だが、誰もが体験できるわけではないことを理解することが重要だ。現時点では、科学界では死後のコミュニケーションのメカニズムを明確に説明できていない。
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霊能者や霊媒を訪ねて、故人とコンタクトをとろうとする人もいる。しかし、学術誌Brain and Cognitionで2020年に発表された論文によると、霊能者を自称する人とそうでない人を対象に、死亡した人々の写真を見せてその死因を当ててもらう実験をしたところ、自称霊能者の正答率が方が低い結果となった。

とはいえ、悲嘆のプロセスにおいて霊能者が果たす役割がないわけではない。霊能者が遺族に安心感を与え、感情を処理して喪失を受け入れる手助けをすることはありうる。しかし、霊能者を利用する場合は、この分野が無法状態であり搾取の場になりがちであることを心得るべきだ。自分の体験した超常現象についてメンタルヘルスの専門家と話せば、それが霊媒を通じて得られたものであっても、それによって生じた複雑な感情を解きほぐすことができるかもしれない。

癒しのプロセスは時間のかかるものであり、悲しみに対処する方法は人それぞれであることを忘れないことが大切だ。この困難な時に対処し、心に平穏をもたらすことに役立つ自分なりの方法を見つけよう。

まとめ

死後のコミュニケーションは、さまざまな文化で存在し、科学界でも認識されている現象だが、それがどのようにして起きるかを明確に説明する方法はない。ただ、メカニズムが解明されていないとはいえ、それが悲しみに向き合う人々に与える癒やしやサポートは本物だ。死後のコミュニケーションをめぐる謎は、愛する人との死別がいかに個人的なプロセスであるかを浮き彫りとしているに過ぎない。

forbes.com 原文

翻訳=高橋信夫・編集=遠藤宗生

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