インターネットの黎明期、企業がこの新しい技術の必要性を認識し始めたことで、「インターネット・プロダクトマネージャー」という職種が登場した。その後、インターネットの進化とともに、「ウェブ・プロダクトマネージャー」や「デジタル・プロダクトマネージャー」といった役割も一般的になったが、いまではインターネットに関する経験はほとんどのプロダクトマネージャーの前提条件となっている。
最近では「AIプロダクトマネージャー」や「AIプロダクトオーナー」という肩書をよく目にするようになっていて、「AIプロダクトマネージャー」をグーグル(アメリカ版)で検索すると、数千件から多い場合には2万件以上の求人やスキル要件が見つかる。
「AI PM」(AIプロダクトマネージャー)という職種も、将来的にはかつてのインターネット・プロダクトマネージャーと同じ道をたどる可能性があるが、現時点では、従来のプロダクトマネジメントスキルとAI特有の専門知識を併せもつ人材への需要が明確に存在している。
「AIプロダクトマネージャー」に求められる主な専門領域
1.AI特有の技術的知識
AIや機械学習の技術を理解し、AIモデルがどのように訓練され、テストされ、実装されるかを把握していることが求められる。
2.データサイエンスのスキル
AIモデルは基盤データに依存するため、データ要件や品質、モデル性能に影響を及ぼす潜在的なバイアスを深く理解する必要がある。
3.AIモデルの性能
AIモデルがユーザビリティ、精度、信頼性、スケーラビリティを向上させる過程を理解するとともに、それに要する時間やコストの把握が欠かせない。
4.規制、倫理、バイアスの理解
AIモデルは、ソースデータに含まれるバイアスを再現してしまう場合がある。「AIプロダクトマネージャー」は、こうしたバイアスの原因と影響を理解し、テスト手法を知るとともに、プライバシーや規制、倫理的問題をどのように管理すべきかを把握する必要がある。
5.教育・啓蒙・影響力の管理
生成AIは急速に進化している技術であるため、ビジネス上の利点を関係者に示し、最新の状況を共有して周囲の理解を深める役割も求められる。