たしかに、家事労働の負担をカップルの一方がすべて背負うのはよくない。ただ、ここでの問題は配偶者が手伝わなかったことではなく、手伝うべき状況に気づかなかったことだ。
何もかもが完璧な世界であれば、いつ何をどのように手伝ってほしいかをわざわざ言わなくてもパートナーが正確に把握してくれているだろう。だが、世界は完璧ではない。SFよろしく相手の心が読めるのでもなければ、手伝いが必要なシチュエーションを詳細かつ正確にわかってくれるパートナーなどいないのだ。
実際、学術誌Marriage and Familiesに掲載された研究論文によれば、これは夫婦の満足度に関して最も顕著に機能不全に陥る信念の1つである。つまり「配偶者なら相手の心の内を察することができるはずだ」という思い込みだ。この「相手の考えがわかる信念」は、実在しないパートナー間の精神的なつながりを前提とした幻想にすぎない。
現実の結婚は、何かが必要なときは相手にそれを伝えなければならないことを教えてくれる。解決可能な問題の中には、蛇口の水漏れや空っぽの冷蔵庫など見てわかるものもあれば、目に見えないものもある。だからこそ、コミュニケーションは結婚生活が機能するために不可欠な要素であり、生命線といえるのだ。
配偶者は、あなたが買い物に出たことを知らなければ、荷物を運ぶのを手伝ってはくれない。あなたが1人の時間を切実に必要としていることに気づかなければ、子どもを遊びに連れ出して1日面倒を見てくれることもない。言い換えれば、あなたが救世主を必要としているという事実に気づかない限り、パートナーはあなたが求めるヒーローにはなれないのである。
パートナーにあなたのニーズを直感的に理解してくれることを期待しても、失望するだけだ。幸せな結婚生活を送るには、一貫してオープンなコミュニケーションと透明性が欠かせない。たとえそれで傷つくことが増えたり、口うるさく要求を伝えたりすることになってもだ。パートナーがあなたと同様に幸せな結婚生活を望んでいるとわかっているなら、あなたが困っていて助けを求めているときにはパートナーが寄り添ってくれるはずだと信じなければならない。