もちろん、パートナーの習慣が明らかに不快だったり不健康だったりする場合はこの限りではない。しかし、自分と異なる変わったニーズや嗜好を配偶者が持っていることは問題ではない。むしろ健全だ。
たまに「男子会」や「女子会」を開いたり、1人で趣味に没頭したり、自分だけの時間を楽しんだりするのは、パートナーが自分自身の幸せをきちんと考えているということだ。こうした習慣は恋愛と同時に維持できるものであり、実際に結婚生活の幸福度にも貢献する。
学術誌Journal of Marriage and Familyに発表された研究結果によると、幸せな結婚生活のカギを握るのは長続きする交友関係があるかどうかだという考え方は一般的だが、普遍的とはいえない。むしろ、個人の余暇が夫婦の満足度において非常に重要な役割を果たしていることが示唆されている。つまり、2人で一緒に楽しむだけでなく、1人で楽しむことにも時間を費やすことが、結果的に幸せな結婚生活につながるのだ。
だから、配偶者の習慣や趣味をぼんやり眺めている時間があったら、自分自身のセルフケアを充実させるチャンスと捉えればいい。相手がゲームをしている間、あなたは自分を幸せにするために何ができるだろうか。風呂で読書をしながらのんびりワインを味わうとか、友人と夕食を楽しむとか、あるいはパートナーがまるで興味を示さない類の観たかった映画を鑑賞するという手もある。
その数時間で自分が幸せになれることを探すか、イライラしながら過ごすか、選ぶのはあなただ。要するに、バランスのとれた結婚生活を送るカギは、配偶者の個人的な幸せが自分の幸せを脅かすという考え方を捨てることだ。結婚生活の中で個性がぶつかるのは当然であるだけでなく、健全なのだという現実を受け入れ、自分の趣味を育む時間を最大限に活用しよう。
2. パートナーには「心を読む」ことはできない
急な食料品の買い出しを終えて、車で帰宅した場面を想像してみてほしい。車には1回では運びきれないほどの荷物が積まれていて、家の中には配偶者がいる。あなたは心の中で「玄関を開ける音がしたら、きっと2階から降りてきて手伝ってくれるだろう」と考える。
最初の荷物を運び込むが、パートナーは出てこない。2往復しても、3往復しても手伝いには来ない。あなたは、パートナーには自分を手伝う気はないのだと判断した。ところが、忙しく食料品を片付けていると、パートナーが階段を下りてくる音がする。
この時点で、片付けに追われるあなたは少し苛立ち、ばたついている。パートナーはお帰りと告げてから、食料品の山を見てこんなことを口にする。「買い物に行くなんて言ってなかったよね? 言ってくれれば手伝ったのに」。イラッとしたあなたは「帰ってきた音がすれば手伝いに来てくれると思ったのに、来なかったから手伝いたくないだけだと思った」と言い返す。
この状況でパートナーは手伝うべきだったのだろうか。