感情に関する暗黙の信念についての研究によると、感情を制御不可能で定着したものとみなす人は、自分の感情をコントロールできないと感じているため、心理的苦痛に苦しみやすい。
対照的に、感情は柔軟で制御も可能だと考えている人は、ネガティブな思考パターンに抵抗して違う視点から物事を捉え直すこと(リフレーミング)が得意で、感情のレジリエンス(回復力)と幸福感を高めることができる。
思考をリセットするには、次のような方法が効果的だ。
1. 思考に気づく:自分は今、自分自身に対してどのような物語を語っているのだろうか。自問することで、感情を強化している心の声に注意を向ける。
2. 問いかける:その心の声が語っていることは事実なのか、それとも思い込みなのか? 心の声の主張を裏付ける証拠が実際にあるかどうか疑ってみよう。
3. 違う視点から捉え直す:より現実的でバランスのとれた見方はないだろうか。恐怖を引き金とした説明ではなく、中立的で自分への思いやりに根差した別の説明を探そう。
実例を挙げてみよう。
・「メールが無視された。相手はきっと怒っているに違いない」と考えるのではなく、「メールへの返信がなかった。もしかすると相手は忙しいだけかもしれない」と考える。
・「プレゼンに失敗した。みんなに無能だと思われたに違いない」ではなく、「たった1回の失敗で、私のプレゼン全体の印象が決まるわけではない」と捉え直す。
頭の中でリフレーミングするのが難しいと感じたら、思考を紙に書き出してみよう。紙に書くと、事実と思い込みを区別しやすくなり、歪みを認識できる。この練習は、不安、罪悪感、憤りなどのしつこく後を引く感情には特に効き目がある。