ワイルドカードはある。ドイツの産業界はドイツ国内でHIMARSやそのロケット弾を生産することに関心を示している。もっとも、これはまだ構想段階にすぎず、実際に建設して稼働させるには何年もかかる可能性がある。仮にそれが実現しても、ロケット弾の多くの部品は米国から輸入する必要があるかもしれない。また、米政府が輸出規制を用いて、ロケット弾の完成品がウクライナに輸出されるのを阻むおそれもある。
英国とフランスの産業界もそれぞれ、自国のMLRS用弾薬の国内生産に取り組んでいる。ただ、これらの欧州製ロケット弾がどれくらい早く量産できるようになるのかは不明で、やはり米国の輸出規制の対象になる懸念がある。
ほかに考えられるのはトルコだ。トルコの産業界は、HIMARSに対応しているとみられるSAGE22というロケット弾を開発したが、これもまだ量産されていない。米国が非協力的な態度を強め、ウクライナでロケット弾への需要が高まるなか、トルコはウクライナのためにSAGE22の生産に乗り出すだろうか?
もしトランプによる援助停止が続きながら、ウクライナ軍のHIMARSが現在のペースで砲撃を重ねているとすれば、それはウクライナの忠実な支援諸国のどこかが介入したという良い兆候だろう。