ロボットメーカーの米Apptronik(アプトロニック)は、同社の人型ロボットApollo(アポロ)の製造及びテスト、配備に関して受託製造大手のJabil(ジェイビル)と戦略的提携契約を締結したと発表した。
筆者はこの提携が、将来的にロボットがロボットを製造することにつながる重要な動きだと考えている。アプトロニックは、2月13日にグーグルを含む投資家から3億5000万ドル(約520億円)を調達したと発表したばかりだが、同社の従業員数は150人程度に過ぎず、海外拠点もまだ少ない。
それとは対照的に、ジェイビルは25ヵ国に100以上の拠点を構え、従業員数は14万人に達し、昨年の売上高は300億ドル(約4兆4400億円)近くに達していた。両社の提携がうまくいけば、ジェイビルは、アプトロニックの人型ロボットの製造を大幅に加速させることができる。
「人型ロボットは、我々の暮らしや働き方に革命を起こす可能性を秘めているが、それを実現するためには、顧客に近い地域で、適切なコストで、迅速に量産できなければならない」と、アプトロニックCEOのジェフ・カルデナスは声明で述べた。
ジェイビルは、アプトロニックのグローバル製造パートナーとしての役割を果たすと同時に、自社の工場でアポロを導入する予定だ。
アプトロニックの競合にあたるFigure(フィギュア)は、今後の4年間で10万台の人型ロボットを出荷する計画を立てており、当初の予定を2年早め、年内に家庭での人型ロボットのアルファテストを開始すると発表した。
人型ロボットの主要メーカーは16社あるが、おそらく100社ほどが開発に取り組んでおり、今月は、フェイスブックを運営するメタが参入すると発表した。
今回発表されたプログラムの一環として、新たに製造されるアポロは、アプトロニックの顧客向けに出荷される前に、ジェイビルの本番環境のテストを受けるという。
アプトロニックは、これまで製造や物流向けのロボットに重点を置いてきたが、現在は家庭用ロボットの開発にも取り組んでいる。同社は、手頃な価格の人型ロボットを、小売業界や高齢者の介護、家庭用などの新たな市場に送り出そうとしている。
未来学者で作家のピーター・ディアマンディスは、「2026年までに、少なくともベータテスト段階の人型ロボットが、一般家庭で洗濯や掃除機がけ、皿洗いを手伝うようになる可能性がある」と述べているが、フィギュアは今年中に人型ロボットを家庭でテストすると発表しており、ディアマンディスの予言が1年早く現実のものとなる見通しだ。