メタがロボット開発に参入するのは、意外なことにも思えるが、同社はすでにロボットが人間と協力して自律的に作業を遂行するために欠かせない人工知能(AI)モデルの開発に成功している。
メタのCTO(最高技術責任者)のアンドリュー・ボスワースは社内向けのメモで、同社の大規模言語モデル(LLM)のLlama(ラマ)のプラットフォームを最大限に活用することを目指し、新設したロボティクス製品グループで、消費者向けのヒューマノイドの研究開発に注力すると述べたとされる。
ボスワースによると、メタがこれまでReality Labs(リアリティラボ)を通じて構築してきたコア技術は、ロボティクスを進化させる上で必要なハンドトラッキングやマテリアルシミュレーション、AO(Adaptive Optics:補償光学)センサーなどの開発を補完することになるという。
人型ロボットの分野には、すでに多くのプレーヤーが参入している。未来学者のピーター・ディアマンディスは先日、この分野の主要メーカー16社を挙げ、2026年末までにベータテスト段階のヒューマノイドが家庭で家事の手伝いをするようになると予測した。
Agility Robotics(アジリティ・ロボティクス)は最近、同社のロボット「Digit」が顧客の施設で働いて報酬を得ることを発表した。また、Figure AI(フィギュアAI)のブレット・アドコックCEOは、会社の設立からわずか31カ月でロボットの有料顧客を獲得したことを明らかにした。
ボスワースは、メタが単なるソフトウェア会社ではなく、QuestやRay-Ban Metaグラス、AIウェアラブル端末などの開発を通じてハードウェアの専門知識も持っているとメモの中で述べている。彼は、GM傘下の自動運転企業クルーズでCEOを務めたマーク・ウィッテンをロボティクス部門のバイスプレジデントとして会社に招き入れた。ウィッテンは、ゲーム会社のユニティ・ソフトウエアやアマゾンの幹部を務めた経験も持っている。
それでも、人型ロボットのような大規模なプロジェクトには大きなリスクが伴う。アップルは、過去10年間でアップルカーの開発に100億ドル(約1兆5200億円)以上を費やしたが、このプロジェクトは結局中止された。
しかし、人型ロボットの開発はブルーオーシャンであり、成功すれば今後数十年に渡って世界のほとんどの国において欠かせない存在になると予想されている。
「この分野への参入は、当社のAIの取り組みと複合現実(MR)や拡張現実(AR)のプログラムに価値をもたらすと確信している」とメタのボスワースは述べている。
(forbes.com 原文)