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欧州

2025.03.04 09:00

米国が援助停止の危機、ウクライナは大砲を撃ち続けられるか

射撃を行うウクライナ軍のスウェーデン製155mmアーチャー自走榴弾砲。2024年1月、ウクライナ東部(Dmytro Larin / Shutterstock.com)

射撃を行うウクライナ軍のスウェーデン製155mmアーチャー自走榴弾砲。2024年1月、ウクライナ東部(Dmytro Larin / Shutterstock.com)

ウクライナに対するロシアの3年におよぶ全面戦争で、最も目につく兵器は爆弾を搭載して飛び回る小型のドローン(無人機)かもしれない。だが、2世紀以上前に工業化時代が始まって以降のあらゆる大規模な紛争と同様に、この戦争もなお主に砲兵戦になっているのが実情だ。

だからこそ、ジョー・バイデン前米政権によるウクライナへの相当な量の大砲や砲弾の供与は、ウクライナによる最初の2年間の自衛にとって決定的に重要だった。そして、ドナルド・トランプ現米政権が示唆している援助打ち切りが、自由なウクライナの味方をこれほど苛立たせ、憂慮させているのも同じ理由からだ。

英王立防衛安全保障研究所(RUSI)のアソシエートフェロー、マイケル・シャーキンは、ウクライナは「155mm砲弾を大量に必要としている」と書いている。米国をロシアに同調させているトランプがウクライナへの追加援助を停止した場合、ウクライナは大砲を撃ち続けることができるだろうか。

ウクライナにとって幸いなことに、答えは、条件付きで複雑ながら「できる」だ。チェコやエストニア、ドイツ、ノルウェーといった国々による個別のイニシアチブにより、ウクライナ軍で最も高性能な155mm榴弾砲は米国製砲弾の備蓄が底をついても砲弾を引き続き発射できるはずだ。

2022年2月以来、ウクライナは支援諸国から155mm榴弾砲をおよそ900門、155mm砲弾を数百万発受け取っている。これらの榴弾砲には牽引式のものと自走式のものがあり、45kg前後の砲弾を25kmかそれ以上離れた目標に向けて撃ち込む。ウクライナ軍はこのうち200門ほどをロシア軍との交戦で失う一方、月に20門ほどのペースで製造されている国産の自走式榴弾砲で補充している。

ウクライナ軍は現在、155mm砲弾を1日に5000発かそこら、年間およそ200万発のペースで発射しているとみられる。これはロシア軍の砲弾発射数に比べると少ないものの、攻撃してくるロシア軍部隊を粉砕し、1m前進するごとにその兵員や車両に多大な代償を払わせるのには十分な数だ。

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翻訳・編集=江戸伸禎

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