とはいえ、向こう2年かそこらの間は、ウクライナは使用する砲弾の大半を引き続き輸入に頼ることになるだろう。米国が援助を打ち切れば、ウクライナへの最大の砲弾供給源はチェコとエストニアがそれぞれ主導する取り組みになるかもしれない。これらの取り組みでは世界中で155mm砲弾を探し回っており、インドや南アフリカからも調達している可能性がある。韓国も主要な砲弾生産国のひとつであり、米国に大量の砲弾を売却することで間接的にウクライナへの供給を支援した。
チェコのイニシアチブは昨年、ウクライナに砲弾を150万発提供した(編集注:チェコのペトル・フィアラ首相は2月の記者会見で、同国のイニシアチブで2024年に欧州外から砲弾50万発を調達し、チェコはこれを含め同年にウクライナ向けに砲弾約150万発の供給を仲介したと説明した。一方、欧州連合=EU=のジョセップ・ボレル外交・安全保障上級代表=当時=は2024年11月、EUが同年それまでにウクライナに砲弾98万発を供与し、チェコのイニシアチブを含めた合計の供与数が同年末までに150万発超に達する見込みだとウクライナメディアに語っている)。
チェコの現政権が今年の総選挙で親ロシアの野党に敗れない限り、こうした取り組みは継続されるだろう。エストニアもこれまでに、ウクライナに155mm砲弾を100万発送る計画などを主導してきた。
錯綜しているとはいえ、要はウクライナとその支援諸国はきわめて重要な大砲と砲弾について、多重の供給ルートを確保しているということだ。
米国はこの戦争から手を引くかもしれない。それでもウクライナ軍の大砲は、長期にわたって大砲を撃ち続けることができるだろう。