2. 障害を取り除くのではなく導く
子どもの靴ひもを結んであげたり、学校の宿題を手伝ったり、あるいは遊び場のいざこざを解決したりと、子どもが直面するあらゆる問題に介入して解決してあげたいと思うのは当然のことだ。だが、悩んだ経験がない子どもより、困難を自力で乗り越える方法を学んだ子どもの方がたくましくなる。感情的知性のある親は、子どものために状況を整えてあげるのではなく、解決策を見つける方へと子どもを導く。子どもが友達と仲違いしたとき「いっしょに遊ぶのをやめたらいい」という代わりに「この状況を何とかする一番いい方法は何だと思う?」と尋ねる。このアプローチは問題解決能力や自信、感情面でのたくましさを育む。
専門誌『フロンティアーズ・イン・サイコロジー』に2023年に掲載された研究では、ルールを設定して温かい目で見守りながら導くことが特徴の「威厳のある子育て」が子どもの問題解決能力の向上に役立つことがわかった。直接的な解決策を与えるのではなく、自主的に考えるよう促す親を持つ子どもは自信と困難に対処する能力を備えていることが示された。
子どもを導く方法としては以下のようなものがある。
・答えが決まっていない質問をする
直接的な解決策を与えるのではなく「何が一番うまくいきそうか」と尋ねる。・自由な発想を促す
子どもが考えられる解決策を列挙してそれぞれの長短を考えるのを手伝う。・感情を肯定する
解決策が明確でなくても「それはイライラするね。なぜ腹を立てているかはわかるよ」などと子どもの気持ちを認めてあげる。・サポートはするが、解決策は与えない
子どもに主体的に問題の解決に取り組ませながら導く。・結果だけでなく努力を褒める
「よく考えたね」などと、試みる姿勢を認めてあげて成長を促す。サポートを受けながら困難に取り組めるようにすることで、子どもたちは自信を持つようになり、将来直面する困難を自力で乗り越える能力を身につけることができる。