a16zなどのトップ投資家は、エル・セグンドのスタートアップへの投資が、将来的に巨大なリターンを生むと考えている。この街には、最近1億ドル(約155億円)の調達を完了したミサイルメーカーのCastelion(カステリオン)や、調達総額が3億ドル(約465億円)の宇宙空間で医薬品をテストする企業のVarda(バルダ)、調達総額が2億ドル(約360億円)の航空宇宙部品製造企業、Hadrian(ヘイドリアン)などが拠点を置いている。
一方、シリコンバレーの名門アクセラレーターであるYコンビネータもここ最近、防衛テック分野に目を向けており、昨年8月にはミサイル技術のスタートアップAres Industries(アレス・インダストリーズ)に、初めての防衛関連の投資を行った。しかし、エル・セグンドの起業家や投資家たちは、Yコンビネータがこの分野に参入するのが遅すぎたと考えている。
「Yコンビネータに行ったとしても、ほとんど役に立たなかっただろう」と、a16zの主導でシード資金を調達したRuneを創業したピーター・ゴールドスボローは語る。「あそこにいる人たちは、僕にとって意味のある経験を持っていない」と彼は述べている(Yコンビネータはこの記事についてのコメント要請に応じなかった)。
米国の「伝統的な価値観」
Discipulusの支援者たちもこの見方に同意している。以前にYコンビネータ出身の起業家を支援した投資家のジョシュ・マンチェスターは、将来的にDiscipulusがYコンビネータに匹敵する存在になることを期待していると語り、「彼らは、Yコンビネータよりも伝統的なアメリカの価値観に、明確に焦点を当てている」と述べている。エル・セグンドのコミュニティも、Discipulusの取り組みを支持しており、VardaやHadrianのリーダーたちは、次のイベントで起業家に助言を行う予定だ。ピーター・ティールの支援を受ける起業家で、人工降雨のスタートアップRainmaker(レインメーカー)を設立したオーガスタス・ドリコも、間もなく開催する自社のイベントで、地元の起業家にアドバイスを行おうとしている。「防衛テックやハードウェア分野の一部の起業家は、最終的に人々が驚くほどの成功を収めるはずだ」と彼は語る。
エル・セグンドを代表する若手起業家の1人であるドリコは、Discipulusの取り組みが、米国のテクノロジー業界への投資が、消費者向けアプリやB2Bソリューションの分野を離れ、国家の安全保障と軍事力の強化に向かっていることの証拠だと考えている。