最近の研究で、「反脆弱性の思考様式」を培うことは、まさにこうした成長につながることが明らかになった。この「反脆弱性(antifragility)」という言葉は、著述家で元トレーダーのナシーム・ニコラス・タレブが編み出した言葉だ。この言葉でタレブが提示したのは、逆境から立ち直るだけでなく、それを糧にさらに力強く成長する、という概念だ。マイナスの状況からゼロ地点に戻ることに焦点を合わせたレジリエンスとは異なり、反脆弱性は、困難な状況をさらなる改善のきっかけとして用いる。
The Journal of Positive Psychologyに掲載された2024年の研究は、この概念に新たな光を当てるもので、日常生活における反脆弱性の役割について探究している。
この研究は当初、米国の退役軍人のうち、低所得層に属する者783人を対象に行われた。その後に追加された245人の参加者に対しても、同じ調査が実施された。その目的は、参加者の反脆弱性の程度を測定し、評価することだった。
研究チームは、調査に参加した人たちの人生において、反脆弱性の強化を後押しする、3つの主要な要素を特定した。具体的には以下の通りだ。
・困難な状況を糧にする:困難な課題に直面した時に、さらに強く成長する特質を指す
・曖昧な状況を糧にする:不確実な状況の下でも、明確な指針と、成長できる要素を見つけ出す性質を指す
・ストレスを糧にする:高いプレッシャーがかかる状況を、個人の能力を伸ばすチャンスへと変貌させる能力を指す