言い争いにはことごとく大きなチャンスが潜んでいる。自分自身とパートナーをより理解し、言葉にされていないニーズを明らかにし、絆を強めるためのチャンスだ。
対立に関するアドバイスの多くは、自分の意見を伝える、遮ることなく相手の話を聞く、などコミュニケーションに重点を置いている。これらの戦略は有用とはいえ、表面をなぞっているに過ぎない。多くのカップルが見落としているのは、対立からは他の経験では得られないような学びが得られ、関係を修復したり成長させたりできる可能性があるということだ。
夫婦の対立に関する意外な3つの考え方を以下に紹介する。これらを受け入れれば、結婚生活を真に変えることができる。
1. 夫婦喧嘩は自分を映す鏡
認め難いが、パートナーとの対立では夫婦関係、そしてあなたについても新たな真実が明らかになることが多い。パートナーの言動で感情面で大きく揺さぶられた場合、なぜそんなに気になるのか立ち止まって自問してみるといい。多くの場合、対立に対する反応は幼少期や過去の人間関係で負った古傷や欲求不満、不安が影響している。以下に例を挙げる。
・パートナーが1人の時間を欲しがったとき、拒絶されたと感じるなら、それは過去に経験した見捨てられることへの恐怖からきているかもしれない
・パートナーが何か重要なことを忘れたときに暴言を吐くとしたら、それはないがしろにされている、大事にされていないという感情を持ちやすいことを反映している可能性がある
対立は自分を知る機会となる。だがその機会をどのように活用したらいいのだろうか。2020年に発表された研究では、恋愛・夫婦関係において目の前のことに集中するマインドフルネスには変化を引き起こす力があり、対立の解決と親密さの両方を改善できると指摘している。その仕組みは以下のとおりだ。
・マインドフルな人は、意見の相違があった場合に自分の意見を引っ込めたり緊張をエスカレートさせたりするのではなく、建設的な問題解決に取り組む傾向がある
・マインドフルな人は相手に気持ちを寄せ続け、つながりを育み、問題を放置することで生じるリスクを減らす
・マインドフルネスはカップルの親密さを強固なものにし、困難な状況にあっても心身のつながりを維持するのに役立つ
これらが積み重なって、関係の満足度や対立からの回復力が向上し、絆が深まる。
今度パートナーと言い争いになったら、一歩下がって「この口論は自分について何を教えているのか」と自問してほしい。自分の内面をのぞくことで、人間として成長するだけでなく、結婚生活をより健全でしなやかなものにすることができる。