ブラックな職場環境や融通のきかない体制、不十分な対応に不満を募らせた従業員たちは、雇用主に明確なメッセージを送るために、最もダメージを与えられるタイミングを見計らってこれ見よがしに退職している。
こうしたトレンドを主導しているのはZ世代だ。この世代は従来重視されてきた雇用の安定よりも、メンタルヘルスやワークライフバランス、やりがいを中心にすえたキャリアを優先する。ひどい待遇に黙って耐えることが多かった旧世代とは違って、Z世代は憤りや敬意をもって扱われない職場にとどまる必要はないという思いを募らせ、職場に抗議する手段として退職している。
だが、こうした変化の背景には何があるのか。調査で明らかになった、Z世代がリベンジ退職の動きを主導している3つの理由を紹介する。
1. 燃え尽き症候群への反発
燃え尽き症候群(バーンアウト)は以前から見られるが、同症候群に対するZ世代の反応はこれまでにないものだ。旧世代は雇用の安定のためにくたくたになりながら働き続けたかもしれないが、Z世代は戦略的に辞める傾向が強い。専門誌『ヒューマニティーズ・アンド・ソーシャルサイエンス・コミュニケーションズ』に2023年に掲載された研究によると、Z世代の労働者は従業員の健康や福祉を軽視する企業文化や長時間労働、過度な業務量に苦しみ、不満を募らせているという。
このような状況に甘んじてきた年配の従業員とは異なり、Z世代は燃え尽き症候群を「名誉の負傷」ではなく限界点とみなしている。Z世代は退職する際、職場に「穴」ができたことがはっきりわかるようにしている。
さまざまな業界でインパクトの強い退職は珍しいものでなくなりつつある。重要な締め切りの直前に従業員が退職し、会社は仕事の再割り当てに奔走している。