一部の働くZ世代にとって、退職は単なる自衛ではなく職場環境について声を上げることでもある。正当な報酬やキャリアアップを提供することなく、従業員を限界まで追い込むような職場で離職率が最も高くなっている。
雇用主にとって、こうした変化は警鐘だ。燃え尽き症候群はもはや離職につながるだけでなく、反発を招くのだ。
2. 職場に求めるものの変化
Z世代は仕事をすることの意味を再定義している。旧世代は何よりも仕事にありつけない事態を回避することを優先してきたが、Z世代は収入の安定より目的や柔軟性、倫理的な整合性を優先する。専門誌『ザ・インターナショナル・ジャーナル・オブ・マネジメントエデュケーション』に2019年に掲載された研究では、ビジネスを学ぶZ世代の学生はスキル開発とキャリアアップを重視しているが、それは自身の価値観や職業上の倫理観に合致した職場においてのみであることが示されている。
多くの人にとって、仕事はもはや目的を達成するための手段ではなく、アイデンティティの延長なのだ。今日の従業員は、給料が見合わないからではなく倫理面で納得がいかないことを理由に辞めている。例えばハイテク業界で働く人は自分が働く会社がデータプライバシー侵害を行っていることを知り、それは自分の価値観に反すると考えて退職するかもしれない。
また、ファッションブランドで働いている人の中には、自社のサプライチェーンで非倫理的な労働慣行が行われていることを知って辞める人もいるかもしれない。職場の多様性やインクルージョン、持続可能性への取り組みの欠如を目の当たりにした従業員が、このままでは自分たちの理念が損なわれるとして決断するケースもある。