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欧州

2025.01.29 09:00

ロシア軍で小型乗用車の突撃が常態化 車両補充追いつかず「脱機械化」始まる

現在はロシアのアフトワズ社が手がける「ラーダ・ニーヴァ」のピックアップ型。2020年4月、ロシア・ノボシビルスク(Car Spotter / Shutterstock.com)

現在はロシアのアフトワズ社が手がける「ラーダ・ニーヴァ」のピックアップ型。2020年4月、ロシア・ノボシビルスク(Car Spotter / Shutterstock.com)

ウクライナとロシア西部の戦線で重ねている破滅的な損害によって装甲車両の備蓄が払底しているロシア軍は、突撃に民生車両を用いるのが常態化している。しかも、それはただの民生車両ではなく、全長4mかそこら、重量1tほどの小型乗用車「ジグリ」(現在のブランド名は元輸出名の「ラーダ」)だ。

ドローン(無人機)が警戒監視する中間地帯をロシア軍の歩兵がジグリに乗り込んで横切るという自殺も同然の突撃は、昨年秋に初めて確認されていた。ただ、当時はまだ、車両不足が高じた挙げ句のロシア軍部隊による単発的な試みとして片付けることも可能だった。

しかし、ロシア軍による機械化の努力について楽観するのはもはや現実的でない。ロシア軍の装甲戦闘車両の確認されている損害が1万1600両あまりに達するなか、ジグリによる突撃はありふれたものになってきている。

OSINT(オープンソース・インテリジェンス)アナリストのMoklasenは、ロシア軍のジグリがウクライナ軍の自爆ドローンに次々に爆破される映像に「ラーダ襲撃はいまでは普通になっているのかな?」とコメントしている
別のOSINTアナリストのアンドルー・パーペチュアも、ロシア軍のジグリとみられる画像に「突撃の時間だ。全員、ラーダに乗り込め」という言葉を添えている

ジグリや、ラーダブランドのそれよりややパワフルな小型SUV(多目的スポーツ車)「ニーヴァ」は数カ月前、ロシア軍の装甲車両の在庫がいよいよ減ってきたとみられる頃から大量に出現し始めた。

ロシアは年にBMP-3歩兵戦闘車を200両程度、T-90M戦車を90両程度、BTR-82装甲兵員輸送車を含むその他の装甲車両を数百両新造しているとみられる。一方、この戦争におけるロシア軍の装甲車両の損失ペースは年にざっと4000両だ。

ロシアは2年くらいの間は、冷戦時代の古い車両を長期保管施設から引っ張り出すことで、損失数と新造数の数千両にのぼるギャップを十分埋め合わせられていた。
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翻訳・編集=江戸伸禎

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