競合ネットフリックスを手本に
ストリーミング事業のライバルであるネットフリックスは、過去2年のあいだに、広告付きプランの導入、パスワード共有の取り締まりという2つの新戦略により成長を果たした。これこそが、ネットフリックスの株価が過去1年間で70%以上も急騰した主な要因である。ネットフリックスに続こうとディズニーが導入した広告付きプランは今のところ好調のようだ。現在、米国におけるDisney+加入者の約半数、全アクティブ会員の37%が広告付きプランを選択しているという。ディズニーは広告なしのプランを割高にすることで、意図的にユーザーを広告付きプランに誘導しているようだ。広告付きプランでは会員料と広告収入の両方を収益として得られるため、ユーザー1人当たりの収益が増える。そのため、ストリーミング各社は広告付きプランの比率を増やそうとしているのだ。ユーザーのターゲティングが簡単で、質の高い、家族向けコンテンツが充実するディズニーのストリーミング事業では、それに応じて高い広告料を設定することもできそうだ。
ディズニーは有料のアカウント共有機能も展開している。このオプションは2024年9月に米国で導入され、会員は月額7ドルからの追加料金で世帯外のユーザーを視聴可能メンバーに追加できる。ネットフリックスは2023年5月に米国でこのオプションを開始して以来、堅調な結果を残しており、ディズニーでも同様の傾向が見られるかもしれない。
現在、ネットフリックスはストリーミング事業における競争でディズニーを引き離している。ネットフリックスによる発表によれば、2024年度第3四半期決算の時点で、その会員数は全世界で2億8300万人に達している。これに対し、ディズニーはHuluと主力のDisney+の合計会員数が約1億7500万人で、前年比8%増とネットフリックスには及ばない。
しかし、ネットフリックスは2025年度以降、会員数の報告を停止する意向を示しており、これは会員数の伸びが冷え込むと同社が予想しているからだと見られている。一方、ディズニーは、Disney+、Hulu、ESPN+を含む幅広いラインナップだけでなく、新たに導入した有料のアカウント共有オプションにより好調を維持する可能性がある。