投資銀行事業は第4四半期に特に好調で、手数料は同44%増の16億5000万ドル(約2572億円)となった。企業によるM&A件数は、2023年に経験したほぼ10年ぶりの低水準から回復傾向だ。また、企業による債券や株式の発行件数も増えていることも追い風となった。
セールスおよびトレーディング収入は、株式が同6%増、債券、通貨、コモディティが同13%増となり、事業全体では同10%増となった。米国の投資銀行業界は、株式市場の上昇による取引活動の活発化、金利の低下、ディールメイキングの活発化、景気に対する楽観に牽引され、今期の決算シーズンは好調に推移した。例えば、バンク・オブ・アメリカのライバルであるJPモルガンは、2024年度の年間利益が過去最高となることを発表したばかりであり、ゴールドマン・サックスもコロナ禍における小康状態を経て利益が回復している。
過去4年間におけるバンク・オブ・アメリカ株の上昇は一貫しているとは言い難く、その年間リターンはS&P500種株価指数よりも不安定である。2021年のリターンは50%、2022年はマイナス24%、2023年は5%、2024年は34%だった。
トランプ政権が追い風に
しかし今後、事態は好転する可能性がある。ここ数年における金利上昇により、預金者に支払う金利が増え、貸し手にとっては重荷だった。しかし、FRB(米連邦準備制度)が昨年9月以降から金利を低下させる方向へと動いており、当面はこの金利の低下が預金コストを下げつつ、ローン需要を押し上げると見られる。バンク・オブ・アメリカは、2025年第1四半期のNIIが146億ドル(約2兆2800億円)になるとの見通しを示しており、この指標は今年、四半期ごとに順次増加し、第4四半期には157億ドル(約2兆4500億円)に達する可能性があるとしている。NIIはバンク・オブ・アメリカにとって重要な指標である。これとは別に、ドナルド・トランプが2期目の米大統領に選出されたことも、金融セクター全体に恩恵をもたらすと予想されている。投資家たちは、トランプ政権が規制緩和に重点を置くことで、バイデン政権と比較して銀行監督へのアプローチが緩やかになり、独占禁止法関連規則も緩和される可能性があることに賭けている。これは、融資活動の活発化などを通じて銀行の収益を押し上げるだけでなく、コンプライアンス・コストを引き下げる効果もあり、それにより収益性が直接的に押し上げられる可能性がある。
また、トランプは減税にも賛成しており、これもバンク・オブ・アメリカのような銀行の収益に貢献する可能性がある。全体として、選挙後の金利低下と政治的確実性の向上は、投資銀行業務とM&A関連業務を活性化させるだろう。
米国時間1月21日現在の株価である約47ドルは、私たちの目標株価とほぼ同水準にある。
(forbes.com原文)