サイエンス

2025.01.22 13:00

「期待を味方につける」ピグマリオン効果を利用して成功をたぐり寄せる2つの方法

sasadai / Shutterstock

sasadai / Shutterstock

まだ挑戦してもいないのに、誰かから「君ならうまくやるに決まっているよ」と言われたらどう感じるだろうか。このような期待には、絶大な効果がある。

仕事に応募する前に親から「きっと憧れの職に就けるよ」と声をかけられたり、上司から「この目標を達成できるのは君しかいない」と激励されたりする。こうした肯定の言葉は、言われた人のマインドセット(思考・行動パターン)をゆっくりと切り替え、より努力して、より高い目標を目指すよう促す。誰かが自分の成功に期待していると意識することで、変化が生じるのだ。

これはピグマリオン効果と呼ばれる現象で、自己成就的予言と本質は同じだ。高い期待をかけられると、人はそれを信念として内在化し、成功への期待がやがて成功の下地を築きあげる。

一方で、期待が低ければ、それが他人からもたらされるものであれ自分自身からであれ、低調なパフォーマンスにつながる。同じことは、自分自身に対する期待や信念にもあてはまる。あなたが自分のポテンシャルをどれだけ信じているかは、あなたの行動に直結し、ひいては結果を左右するのだ。

こうした効果の仕組みを知っていると、自分と他人の期待を味方につけて、成功をたぐり寄せることができる。ピグマリオン効果を活用して成功への期待を成就に結びつける方法を2つ紹介しよう。

1. 高い期待を持ち、「成長マインドセット」を培う

ピグマリオン効果を個人的な成功のために活用する基本的なステップは、「高いけれども実現性のある期待」を自分に対して持つことだ。

高い期待は、決意を固め、困難への耐性をつける。コンフォートゾーン(安心していられる領域)を踏み越えて、達成不可能に思えた結果を実現するよう促す。

このプロセスで鍵を握るのは、「成長マインドセット」への切り替えだ。これは、心理学者のキャロル・S・ドゥエックが1968年に学術誌Psychological Reviewに発表した論文で提唱した概念であり、「固定マインドセット」と「成長マインドセット」が対になっている。

成長マインドセットは、「自分の能力や知性は学習と努力によって伸ばすことができる」という信念を反映している。一方、固定マインドセットは、能力、知性、才能を天性のものとみなし、劇的な変化や成長は望めないと考える。
次ページ > 目標に価値を見出し、モチベーションを高める

翻訳=的場知之/ガリレオ

タグ:

ForbesBrandVoice

人気記事