木星探査計画の最終年に突入したジュノーから送られてきたデータをダウンロードしたのは、これまで通り、ボランティアの市民科学者たちだ。機体を回転させて姿勢を制御するジュノーに搭載された200万画素のカメラJunoCam(ジュノーカム)で撮影したデータを、市民科学者たちが見事な作業でつなぎ合せて作成した画像を、ここで紹介する。
軌道上で木星に最も接近する近木点(ペリジョウブ)の通算68回目の通過時、ジュノーは木星の雲頂の上空数千kmを飛行した。この位置からJunoCamを含む搭載機器を用いて観測することで、木星の渦巻く嵐や入り組んだ雲帯の詳細な画像を撮影することができた。さらにジュノーは、太陽系で最も火山活動が活発な天体のイオにも接近した。噴火中の火山や溶岩流が特徴的なイオの表面は、木星のカラフルな雲の模様との印象的なコントラストを生み出している。これは、ジュノーによるイオへの近接フライバイ観測の最新の成果だ。イオへのフライバイはこれまでに複数回実施されており、科学者がこの謎に包まれた衛星についてより多くを知る助けになっている。

NASAジェット推進研究所(JPL)の2024年12月の発表によると、イオに関する革新的な詳細がジュノーによって明らかになったという。イオの火山活動が非常に活発なのは、木星や他の大型衛星のエウロパとガニメデとの重力相互作用によって生じる潮汐力が原因となっている。
ジュノーは搭載するマイクロ波放射計(MWR)を用いてイオの表面から立ち上る熱を検知し、1000度以上の温度に達する溶岩湖や活火山を特定した。重力的な押しと引きが常に作用することで大きな内部摩擦が生じる潮汐加熱により、どのようにイオの活発な火山活動が引き起こされているかを、この観測データは浮き彫りにしている。
また、イオの磁場とプラズマの相互作用をマッピングし、イオから放出される荷電粒子が木星の巨大な磁気圏にどのように寄与しているかを科学的に解明することが、ジュノーのフライバイによって可能になっている。2011年に打ち上げられ、2016年に木星に到達したジュノーは10年近くを費やし、太陽系最大の惑星である木星に関する科学者の理解を拡大してきた。



