同社の2024年の第3四半期決算(7-9月)をみると、その最終損益は61億7400万ドル(約9693億円、1ドル157円換算)の赤字であり、9四半期連続の赤字となった。
2023年の総売上高は779億ドル(約12兆2303億円)。うち44%を旅客機などの「商用サービス」、32%を「防衛・宇宙」が占める。航空事業が不振であれば宇宙・防衛ビジネスで補われるところだが、近年では宇宙事業も苦境に立たされ、宇宙関連部門や関連子会社の売却が検討されている。
開発コストを回収できない宇宙船

スターライナーはNASAのCCP(商業乗組員プログラム)に選定された機体であり、NASAから資金援助を受けるものの、機体の開発製造から運用まで、そのすべてをボーイング社が自社事業として担う。支援金だけでは開発できないが、その後の人員輸送サービスをNASAが継続的に購入することにより、ボーイング社ははじめて利益を得ることができる。
スターライナーがCCPに選定されたのは2014年であり、獲得した支援金は42億ドル(約6594億円)。ただし、開発遅延でコストが大幅に超過し、定期運用も実現できない状態にあるため、採算の目途がまったく立っていない。
NASAとの契約は固定価格制のため、開発途上でその費用が膨らんでもNASAからの支援金額は変わらない。その結果、ボーイング社のスターライナー事業における予算超過は、2024年10月時点で18億5000万ドル(約2905億円)に上る。