北米

2025.01.16 09:30

ボーイング、廃止される宇宙プロジェクトと宇宙事業部門の売却リスト

(C)Boeing

一方、スペースXやブルーオリジンのロケットを活用すれば、NASAはその打ち上げサービスを民間企業から、支払額が一定となる固定価格契約にもとづいて購入するかたちとなる。その結果、アルテミス計画に費やされるコストは劇的に圧縮されることになる。

ULA売却の可能性

ULA社の新型ロケット「ヴァルカン」は2024年1月に初打ち上げに成功。第1段のエンジンにはブルーオリジン製BE-4を2基搭載。このロケットにおいてもULA社とブルーオリジン社はパートナー関係にある

ULA社の新型ロケット「ヴァルカン」は2024年1月に初打ち上げに成功。第1段のエンジンにはブルーオリジン製BE-4を2基搭載。このロケットにおいてもULA社とブルーオリジン社はパートナー関係にある

ロケットの開発運用会社であるULA社は、ボーイング社とロッキード・マーティン社との合資会社であり、両社はULAの株式を50%ずつ保有する。
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かつてライバル企業であった両社は、米国防総省(DoD)やNASAを相手にロケットの打ち上げを請け負い、莫大な利益を上げてきた。 しかし、偵察衛星など米政府系の打ち上げ機会が1997年をピークに大幅に減少したため、両社のロケット部門を統合することになり、2006年にULA社が設立された。

また、2012年以降になると、スペースX社の格安ロケット「ファルコン9」の打ち上げ回数が急速に伸び、同社が政府系衛星も受注するようになると、ULA社の受注率はさらに低減。 その結果、近年ではULA売却の可能性が報じられている。

ULA社の売却先としては、これまでにブルーオリジン社、シエラスペース社などが候補に挙がっている。両社とボーイング社は民間宇宙ステーション「オービタルリーフ」で協働関係にあるためだ。

売却先は「オービタルリーフ」パートナー

大型の民間宇宙ステーション「オービタルリーフ」ボーイング社は同ステーションの一部モジュールの開発製造を担当する(C)Blue Origin / Announcing Orbital Reef

大型の民間宇宙ステーション「オービタルリーフ」ボーイング社は同ステーションの一部モジュールの開発製造を担当する(C)Blue Origin / Announcing Orbital Reef

ISS(国際宇宙ステーション)は2030年に運用が終了し、翌31年には南太平洋に落とされる。そのため現在米国ではISSの代替機として、3機の民間宇宙ステーションの開発製造が進んでいる。この事業もNASAの支援のもとで民間企業が開発、製造、運用を行い、そのサービスをNASAや米政府系団体が継続的に購入することによって民間ビジネスを成立させる。
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編集=安井克至

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