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北米

2025.01.16 09:30

ボーイング、廃止される宇宙プロジェクトと宇宙事業部門の売却リスト

(C)Boeing

その1機「オービタルリーフ」は、ジェフ・ベゾス氏のブルーオリジン社と、防衛宇宙企業であるシエラスペース社が主幹となるプロジェクトであり、2021年にNASAに選定された。 そして、この大型ステーションの一部モジュールは、ボーイング社がその開発製造を担当している。

ただし、このステーション建設は請負事業ではなく、投資事業であるため、参画するパートナーには一定の資金力が必要になる。ボーイング社にその体力がなければプロジェクトの進捗に障害が生じることになるが、その場合は同社の宇宙事業部門が他のパートナーなどに売却される可能性がある。ULA社の売却先としては、過去にはプライベートエクイティ大手であるサーベラス社、航空宇宙開発企業テキストロン社なども候補に挙がっている。

売却可能な資産リスト

2024年8月、ボーイング社の新CEOとしてケリー・オートバーグ氏(64歳)が就任した。彼は10月11日、全社員に対してメッセージを配信し、全従業員17万人の10%に当たる1万7000人のレイオフを宣言。11月に入ると個々人への通達が開始された。

このとき労組の組合員3万3000人がストライキに入っていたが、それによって航空機の生産が滞り、55億ドル(約8640億円)の損失が発生している。8週間におよぶ長期ストは11月4日に終結したものの、4年間で38%の賃上げを柱とする新たな労働協約案を承認したことにより、人件費が4年間で11億ドル(約1727億ドル)増加する見込みだ。

オートバーグ氏は、米紙インタビューで「より少ない労力で、よりよい成果を上げる」ことを目指し、民間航空機部門と防衛部門にリソースを集中させたいと発言。その直後の10月29日には、ボーイング社の宇宙事業部門が売却される可能性があることをウォール・ストリート・ジャーナルが報じ、また11月9日には、傘下の航空向けナビ情報会社ジェプセンを60億ドル(約9420億円)で売却する可能性をブルームバーグが報じた。

いまオートバーグ氏の手中には、売却可能な資産リストがある。宇宙事業部門が売却されるとしても、偵察衛星、通信衛星、シャトル型の無人機X-37Bなどの軍事色の強いものは継続されるだろう。どの事業が中止され、どの部門が売却され、どこがそれを買い取るか。今後しばらくはボーイング経営陣の動向を探る報道が続くと思われる。

編集=安井克至

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