宇宙

2024.12.13 14:15

広尾学園高校が人工衛星製作、その悲喜「極寒の LED試験」

自ら設定したミッションの下、人工衛星を作りあげた広尾学園高等学校の生徒たち。(左から)前田昊生、澤村太智、新垣蓮、矢尾海心、藤村ひな乃、青木莉緒(モニターに映る平松彪悟、木本晃一の2名は米国からZoomでリモート参加)、中央はラグラポCEO高野宗之。Forbes JAPAN編集部にて

自ら設定したミッションの下、人工衛星を作りあげた広尾学園高等学校の生徒たち。(左から)前田昊生、澤村太智、新垣蓮、矢尾海心、藤村ひな乃、青木莉緒(モニターに映る平松彪悟、木本晃一の2名は米国からZoomでリモート参加)、中央はラグラポCEO高野宗之。Forbes JAPAN編集部にて

12月18日11時、日本初の民間小型ロケット射場「スペースポート紀伊」からカイロスロケット2号機が発射されたが、ミッション4/ステップ3まで到達することができたものの、約3分7秒後に飛行中断が行われた。

このロケットにはなんと、「高校生たちが企画、製作した」人工衛星「ISHIKI」が搭載されていた。

この試みには「LAGRAPO」が深く関わっている。同社は、三菱重工でのH-IIAロケット設計、JAXAでの⽇本初の宇宙船「国際宇宙ステーション補給機「こうのとり」(HTV)」の開発を⾏った経験を持つ代表の高野宗之氏を中心に、宇宙開発の管理手法をベースとした企業向け経営コンサルティングのほか、広く宇宙事業の普及に向けた活動を行う。同社は宇宙事業を多くの一般企業に普及させるためのコンテンツとして、同時に実際の宇宙開発を多くの次世代の子ども達に経験してもらう教育に資する新たな取り組みとして、「LAGRAPO人工衛星プロジェクト」を開始した。

そして同社が仕掛ける「LAGRAPO人工衛星プロジェクト」の第一弾が、ほかでもなく、都内・広尾学園の高校生が製作した人工衛星「ISHIKI」の打ち上げだ。

このプロジェクトは、教育キットで衛星製作の一部を生徒たちが担うような、よくある教育事業ではない。大人は相談役に徹し、ミッションの企画・製作・試験から打ち上げまで、企業が行う宇宙事業と同じスペックを生徒たちだけで考え進めていくデザインだ。

さらにこのプロジェクトには、LAGRAPOの他、宇宙開発技術や工場を持つオービタルエンジニアリングなど、実際の宇宙開発同様に多くの大人たちが脇を固める。serendipity代表三凛さとし氏も宇宙、教育分野の発展のために支援を申し出た。

人工衛星でどのようなミッションを果たすのか。生徒たちが自ら考えたのは、人工衛星に取り付けたLEDライトを地上から観測することと宇宙における構造物の展開、メッセージの送信だ。

失敗を乗り越えながらプロジェクトを進めてきたこの1年を振り返ってもらった。

広尾学園の高校生が製作した人工衛星「ISHIKI」

広尾学園の高校生が製作した人工衛星「ISHIKI」

【人工衛星「ISHIKI」プロジェクトメンバー(広尾学園高等学校)】

矢尾 海心
(高3、インターナショナルコース)
新垣 蓮(高3、インターナショナルコース)
澤村 太智(高3、インターナショナルコース)
青木 莉緒(高2、医進・サイエンスコース)
藤村 ひな乃(高2、医進・サイエンスコース)
前田 昊生(高2、インターナショナルコース)
平松 彪悟(卒業生、UCLA、米国からZoom画面で参加)
木本 晃一(卒業生、スタンフォード大学、同)
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髙野宗之(ラグラポCEO)


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文=久野照美 写真=曽川拓哉 取材・編集=石井節子

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