宇宙

2024.12.13 14:15

広尾学園高校が人工衛星製作、その悲喜「極寒の LED試験」

自ら設定したミッションの下、人工衛星を作りあげた広尾学園高等学校の生徒たち。(左から)前田昊生、澤村太智、新垣蓮、矢尾海心、藤村ひな乃、青木莉緒(モニターに映る平松彪悟、木本晃一の2名は米国からZoomでリモート参加)、中央はラグラポCEO高野宗之。Forbes JAPAN編集部にて

全てはここから始まった! プロジェクト発端秘話


平松彪悟:僕と晃一(木本晃一)が「株式会社うちゅう」で学生インターンをしていたことが全ての始まりです。

「うちゅう」では、モデルロケットのリカバリーワーディング(※モデルロケットを打ち上げる際にエンジンの上にセットする不燃紙で、パラシュートがエンジンの熱で溶けないようにするためのもの)の日本製製品を作るプロジェクトに参加して開発を手伝っていました。

ある日、LAGRAPOにも参画している「うちゅう」取締役の八島京平さんから、「うちゅう」の学生用Slackのグループチャットで「一緒に衛星をつくりたい人はいませんか?」という問いかけがあったんです。

最初は、本当にそんなことができるのかなという不安がありましたが、こういう貴重なプロジェクトに参加するのはすごく意味のあることだと思って、晃一と一緒に「ぜひやりたいです!」と返事をしたんです。

木本晃一氏(画面下左)、平松彪悟氏は米国からそれぞれZoom参加してくれた

木本晃一氏(画面下左)、平松彪悟氏は米国からそれぞれZoom参加してくれた

木本晃一:それで僕と彪悟は参加が確定して、他の広尾学園のプロジェクトメンバーは、広尾学園の植松教頭先生など、先生方に選んでもらいました。

平松彪悟:メンバーを選んでもらうために、晃一と一緒にプロジェクトの資料を作って植松先生にピッチするためのプレゼンをしたよね。それもいい思い出です。

ここから打ち上がる! 射場見学


矢尾海心:我々の衛星「ISHIKI」の打ち上げが行われる和歌山県串本町の発射場「スペースポート紀伊」の見学に行きました。実際に見て、ここから打ちあがるんだという実感もあったと思うんですけど、どうでしょう?

澤村太智:僕はスペースワンという会社を知らなかったんですけど、新しい民間企業がコンパクトなシステムで新型の中小型ロケットを打ち上げるというのはすごく画期的だなと感心して。技術的なところにすごく興味を持ちました。

藤村ひな乃:ロケットってあまり知らなかったんですけど、実際に行ってみたら、大きな敷地にポツンと指令室があって。その指令室がカッコよくて感動しました。

高野宗之(ラグラボCEO): 僕がすごく印象的だったのは、打ち上げ場への移動の車の中で、全員が英語で会話していたこと。

あれ?おかしいな、日本の高校生を乗せているはずなのになって。広尾学園の生徒のレベルの高さをすごく感じました。


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文=久野照美 写真=曽川拓哉 取材・編集=石井節子

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