食のプロたちが感嘆した飛騨牛握り寿司
一方で、ジャパンパビリオンに参加した各県もまた、かけた予算は民間企業に比べて少なくとも、それぞれが持てる力を最大限アピールする努力もしていた。その成果は、各県、それぞれに違いがあるとは思うが、共通しているのは、食品をただ試食するだけでなく、そこに日本人ならではの、食材をつくりあげる技術などを見せる「実演試食」を行うことが、来訪者の注目を集めるために一番効果的であったということだ。逆に言えば、ジャパンパビリオンに訪れる人々は、そのあたりを期待してきているのだということで、例えば、三重県は今回、日本酒と和菓子を出品していたが、綺麗な和菓子を並べるだけではなく、練り切りなどの制作実演や、隣にあったお茶のブースと一緒に、和菓子とお茶を日本の作法を伝えながら試食実演することで、集客効果を高め、商談にもつながったとのことだ。
ちなみに岐阜県では、小さなブースのなかでも、県内の観光、食、ものづくりの魅力が総合的に伝わるよう、背景を県のシンボルでもある白川郷の美しい全面写真とするなど、ブース装飾にも力を入れた。
今回、岐阜県では「飛騨牛」と「栗きんとん」の2品を出品していた。それぞれの食品のアピールともに、最高の飛騨牛と特産品である栗きんとんを来場者にしっかりと試食をしてもらえるよう注力した。
そのため、飛騨牛は岐阜市の通販・販売店の丸福商店、栗きんとんは、中津川市の新杵堂に現地に参加してもらった。また飛騨牛ステーキのカットについては、丸福商店の肉のプロフェッショナルにカットと調理を現地でお願いし、その実演も行った。
飛騨牛の良さを生かした本当に美味しい部分を焼きたてでバイヤーのみなさんに食してもらい、現地で飛騨牛を扱える流通業者との商談につながるようにしていったのだ。
また、栗きんとんに関しては、実際の岐阜県の栗の実物も見せ、それがこのような美味しいスイーツになることを説明。さらに、本来ならば賞味期限の短い商品なので輸出は無理だと考えられていたところ、独自の手法で海外流通を可能にした新杵堂の技術力をアピールした。
先ほどの三重県の試食実演の話でも書いたように、岐阜県のブースに来場した海外の人たちは、口々にその美味しさと技術力を「日本の匠の技!」だと感動してくれた。